家庭園芸向け商材の卸売を手がけるキムラグリーンは、モバイルアプリによる店舗発注システム「Pittaly Order」を採用した。6月9日、同製品を提供するユーザックシステムが発表した。従来はFAX中心だった園芸店からの注文をモバイルアプリ経由に切り替えることで、受注処理にかかる時間を約83%削減した。繁忙期の夜間残業を解消したほか、取引先である園芸店の発注業務省力化にも貢献しているという。
キムラグリーンは滋賀県草津市に拠点を置き、土や肥料、プランターなどの園芸用品を近畿圏や東海地方のホームセンターや園芸店に卸販売している。ホームセンターとの取引では顧客側が用意した受発注システムを利用しているものの、園芸店からの注文は約9割がFAXで行われていた。取扱品目数が多いため、1回の注文が100アイテムに及ぶこともあり、手入力による受注処理作業は1件あたり最大30分を要していたという。ルート配送のため、配達前日には受注入力を終える必要があり、追加注文が集中する春の繁忙期には夜間対応が発生するなど、慢性的な人手不足や人件費上昇への対応も迫られる中で、業務負荷の増大が深刻な課題になっていた。
同社は基幹システムを大塚商会の「SMILE V」に刷新したことを機に、次のステップとして前述の課題を解決すべく受発注業務のデジタル化に着手。そこで採用したのが、顧客側がスマートフォンから手軽に発注できるクラウドサービスのPittaly Orderだ。バーコードをスマートフォンのカメラに読み込ませると注文情報がアプリの画面に表示され、注文数量を入力するだけで発注が完了する。こうした発注側の使い勝手のよさや、SMILE Vと連携しやすい点を評価した。
現場での運用を開始するにあたり、キムラグリーンの担当者がMicrosoft Accessでデータ変換の仕組みを自社開発し、SMILE Vへの取り込みをスムーズに行える環境を整えた。さらに、取引先である園芸店の店舗向けにバーコードシールを作成し、店舗の棚に貼る作業も支援するなど、顧客側の負担を減らすための取り組みに注力した。新システムを活用してもらう利点も丁寧に説明し、利用を促したという。
Pittaly Orderへの切り替えにより、受注データの処理時間は大幅に短縮された。アプリから受信した注文データのSMILE Vへの取り込みは5分以内に完了し、従来の手入力に比べて約83%の業務時間を削減できた。入力担当者の残業が解消されただけでなく、手入力のプロセスが削減されたことで、商品名の読み間違いや入力ミスといったトラブルも減少している。取引先の園芸店からも、紙の注文書を作成する手間が省け、売り場を回りながらスマートフォンで商品をスキャンするだけで発注できると好評を得ているという。
キムラグリーンは現在、発注数の多い取引先を中心にアプリの活用を促進している。また、Pittaly Orderは棚卸しなど受発注以外の業務にも応用できる可能性があるとして、将来的な活用範囲の拡大を視野に入れている。同社代表の木村真也氏は「人手不足の中、受発注業務の効率化は問屋など上流側が主導して進めることに意味がある」と取り組みの意義についてコメントしている。