商工中金、営業データを資産化しAIエージェントで高度な活用へ 顧客への伴走型支援を強化

2026年6月9日16:40|ニュースCaseHUB.News編集部
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 商工組合中央金庫(商工中金)は、顧客である中小企業に対する伴走型支援の高度化を目的に、顧客管理システム「Salesforce」とAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を採用した。6月8日、同サービスを提供するセールスフォース・ジャパンが発表した。営業担当者を含む全国約3300人の従業員が扱うデータを一元管理してAIで活用し、属人的な営業からチーム全体で知見を共有する営業スタイルへの転換を図る。情報検索などを効率化して顧客と向き合う時間を増やし、営業活動の質を高める考えだ。

 商工中金は、単なる資金供給にとどまらず、課題解決型の顧客支援を事業の中核に据えている。同社は2008年からスクラッチ開発の営業支援システムを利用していたが、長年にわたる改修でシステムが複雑化して硬直化し、情報の検索に膨大な時間を要するなどの課題を抱えていた。個人の経験に依存した営業スタイルから脱却し、組織全体で知見を共有して活用する伴走型支援への転換が急務となっていた。

 こうした課題の解決策として、Salesforceを導入した。標準機能を基本としたアプローチで段階的な進化が可能な柔軟性と、将来的なAIやデータ活用を見据えた拡張性を評価した。現在、営業担当者を含む全国約3300人の従業員がSalesforceを活用し、日々の顧客情報や商談履歴を一元管理している。さらに、法人ポータル「Bizリンク」を構築して決算書の提出や財務診断などをオンラインで提供し、リアルな接点だけでは把握できなかった顧客の関心事をデータから可視化する試みも進めている。

 AIエージェントの本格展開に向けては、2025年後半に130人規模でのPoCにより成果を確認し、2026年4月から営業向けAI機能である「Agentforce for Sales」の本格的な開発に着手した。訪問前の準備に有用な顧客情報の自動要約機能や、自然言語を使った類似取引の検索機能などを現場が使えるようにする。

 Salesforceの導入後、定着のための体制構築などが功を奏し、再現性のあるチーム型営業が確立されつつあるとしている。同社は今回のプロジェクトで定量的な費用対効果だけを追わず、顧客との対話や戦略立案に充てる時間が増えたかという営業活動の質的変化を重視している。すでに現場からは顧客に向き合う時間が増えたという声が上がり始めているという。さらに、Agentforce for Salesの本番稼働後は、データを「資産」として活用する企業文化へのシフトが加速すると見込む。

 今後は、AIの利活用を前提としたデータ管理体制の最適化や、Bizリンクを通じた顧客接点のさらなる拡充を推進する。商工中金社長の関根正裕氏は、「デジタル基盤の整備により、これまで属人化していた知見を組織全体で生かし、リアルとデジタルを融合させた新しい伴走型支援の形を通じて、中小企業の未来と日本経済に貢献していく」とコメントしている。

ニュースリリース