千葉大学、LMSをGoogle Cloudへ移行 運用工数を20~30%削減

2026年10月2日09:00|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 千葉大学は、学習管理システム(LMS)の「Moodle」を他社クラウドからGoogle Cloudに移行した。Google Cloudは2026年9月30日、公式ブログで導入事例を公開した。データベースやキャッシュ層をマネージドサービスへ切り替え、OSの管理やパッチ適用に伴う負荷を削減した。全体で運用工数を約20~30%減らし、コスト削減と運用の効率化につなげた。今後は、LMSの利用ログを分析するラーニング・アナリティクスなどを検討する。

 千葉大学は、2020年に発足した「スマートオフィス」を中核に、全学で教育DXを進めている。学習管理システム(LMS)としてMoodleを運用し、教育活動の基盤としている。

 コロナ禍前は、Moodleをオンプレミス環境で運用していた。物理機器のトラブルやネットワーク障害、停電などへの対応が必要で、対応できる専門知識を持つ職員も限られていた。運用負荷に加え、セキュリティ面にも不安を抱えていた。

 2020年、コロナ禍でLMSへのアクセスが急増したことを受け、まず他社クラウドへ移行した。ただし、構成は全てIaaSの仮想マシンであり、物理機器の障害対応は減った一方、OSの管理やパッチ適用に伴う運用負荷は残った。

 Google Cloudの採用を検討する契機となったのは、教育現場でGoogle Workspaceの利用が広がっていたことだ。学生向けメールをGmailへ移行し、同時双方向型のオンライン授業でGoogle Meetを利用する中で、アカウント認証を統合できる点を評価した。学術情報ネットワーク(SINET)とのプライベート接続におけるコストパフォーマンスも踏まえ、教育系システムをGoogle Cloudへ全面的に移すことを決めた。

 移行は、事務補佐員を含む約10人の職員と4人の教員で構成するスマートオフィスが主導した。学内にはクラウドに詳しい人材が十分にはおらず、ISMAPなどの評価基準が定まる前でもあったため、学生の機微な情報をクラウドへ移すに当たり、学内でセキュリティ面の合意形成に苦心した。

 セキュリティを確保するため、商用ネットワークを経由せず、SINETから直接接続する構成を目指した。しかし、ベンダー間の調整は難航した。コンサルタントとして参画した早稲田大学アカデミックソリューションが、千葉大学、Google Cloud、運用ベンダーの間に立って調整し、実装を支援した。

 現在の構成は、単なるリフト&シフトではない。アプリケーションサーバーは、学生が一斉にアクセスするピーク時にも性能を確保できるよう、Compute Engineを3台構成で運用する。データベースにはCloud SQL for MySQL、キャッシュ層にはMemorystore for Redisを採用し、OSの管理工数を抑えた。Cloud Runを使ったフロントエンドの構築にも着手している。

 セキュリティ対策では、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)としてCloud Armorを利用するほか、Cloud Firewall(Cloud NGFW)を導入した。SSL証明書の更新はGoogleマネージド証明書で自動化した。サーバー単位で行っていた監視も、ログをBigQueryへ転送して集約することで効率化した。

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Google Cloudに構築した学習管理システムの構成

 これにより、課題の締め切り直前にLMSのサーバーが停止するかもしれないという学生の不安を軽減した。教員は、小テストの自動採点やオンラインでのグループワークなど、LMSの機能を生かした教育設計に取り組みやすくなった。

 今後は、APIを活用した学内向けRAG(検索拡張生成)環境の構築や、LMSの利用ログをBigQueryに蓄積し、Lookerで可視化・分析するラーニング・アナリティクスを検討する。同大の関係者は「LMSは、あって当たり前のインフラとして機能することに意味がある。学習の本質とは無関係なストレスを取り除くことで、初めてデータに基づいた教育改善が可能になる」と話している。

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