慶應義塾は、Notion Labs Japanのワークスペースツール「Notion」およびAIアシスタント「Notion AI」を、非常勤を含む全教職員約1万1000人に展開する取り組みを共同で始動した。9月28日、Notion Labs Japanが発表した。掲げる「AIキャンパス構想」の共通基盤として位置付け、非常勤を含む全教職員約11000人を対象に利用環境を展開した。
慶應義塾は2026年2月にNotion Labs Japanと包括的連携覚書を締結し、3年以内に世界最高峰のAIキャンパスを形作る目標を掲げている。大学運営においては規程や文書、研究記録といった膨大な知的資産が蓄積されているものの、個人の手元や部署ごとのシステムに分散しており、AIが参照できる組織文脈の整備が課題となっていた。AIを個人のツールとして配布するだけでなく、168年にわたり蓄積した資産や業務情報を集約し、人とAIが協働できる環境を構築するため共通基盤としての採用を決めた。
今回の取り組みでは、単なるツールの提供にとどまらず、慶應義塾の担当者とNotionの導入支援チームが合同チームを編成。基盤の設計から研修プログラムの共同開発、部門展開の支援まで一体となって推進している。2026年5月27日に全教職員へ利用環境を展開し、全キャンパスを対象にオンラインと対面を組み合わせた習熟度別研修を実施して延べ1000人以上が参加した。
2026年8月時点の直近90日間では、利用者の約8割がNotion AIを利用し、AI機能の実行回数は25万回を超えた。実務適用段階の研修では、参加者の9割以上が自らの業務に合わせた仕組みを作成し、8割以上が実際の業務での活用イメージを持てたと回答した。
2026年度下期には部門やプロジェクト単位で共同利用できるチームスペースを順次提供する。年内をめどに教職員ポータルをNotion上へ移行し、学内のニュースや手続きを集約する計画だ。今後は学生向けの学習・創造の場におけるAI活用も段階的に検討するほか、共同構築で得られた知見やテンプレートを国内外の教育機関へ発信していく。
慶應義塾塾長の伊藤公平氏は、「AIを単なる効率化の手段としてではなく、教職員や学生、研究者が知識を共有し新たな価値を生み出すための知的基盤として位置付けている。Notionとの協働を通じ、必要な情報により速く自然にたどり着き、組織の知見を次の活動へつなげられる環境を構築していく」としている。