ニッセイ・ウェルス生命保険、基幹業務システムのクラウド移行で業務効率とセキュリティを強化

2025年5月9日14:23|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ニッセイ・ウェルス生命保険は、ITインフラの強化と業務効率化を目的に「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を採用し、約20万件の契約情報を管理する基幹業務システムをクラウドへ移行した。OCIを提供する日本オラクルが2025年5月8日に発表した。

 ニッセイ・ウェルス生命保険は日本生命グループの一員として、金融機関窓販領域を中心に資産形成・資産継承向けの商品・サービスを展開している。昨今の事業環境では、顧客ニーズの多様化やサービスの高度化に対応するため、IT基盤の柔軟性や拡張性、さらにはセキュリティ強化が求められていた。このような背景から、従来のオンプレミス環境からクラウドへの移行を進め、データセンター依存からの脱却と事業継続性の向上を図ってきた。

 今回の基幹業務システム移行にあたっては、業務への影響を最小限に抑えつつ、既存システムとの整合性を維持することが重要な要件となった。OCIの採用理由は、Oracle Databaseとの高い親和性と移行の容易さが評価されたほか、150以上のクラウドサービスの利用が可能になる拡張性、データベースや通信の暗号化、国際的な情報セキュリティ基準への準拠など、堅牢なセキュリティ環境が評価された。

 移行プロセスは、システム停止のリスクを最小化するために、週末の1日で完了させた。これにより、業務への影響は極めて軽微に抑えられた。システム面では、「Oracle Real Application Clusters(RAC)」や「Oracle Data Guard」などの機能を活用し、データベースの性能や可用性を強化している。

 移行により夜間バッチ処理の時間が従来の平均2時間から約1時間へと半減し、業務効率が大幅に向上した。さらに、セキュリティパッチの自動適用による運用負担の軽減や、データベースのチューニングを行わなくてもオンプレミス環境以上の性能を発揮できる点が評価されている。検索性能やシステムの応答性も向上し、コールセンターや契約管理部門からの照会業務の効率化にも寄与している。

 ニッセイ・ウェルス生命はマルチクラウド戦略を推進しており、既存のIT環境ではMicrosoft Azureも活用している。今回のOCIへの移行では、SIベンダーのTISが支援し、Microsoft AzureとOCIの共通運用モデルを確立した。これにより、問い合わせや管理業務の一元化が実現している。さらに、「Oracle Interconnect for Azure」を採用し、Microsoft Azure上のアプリケーションとOCI上のOracle Databaseを低レイテンシ(2ミリ秒未満)で直接相互接続することで、マルチクラウド環境下でのネットワーク性能と運用効率を高めている。

 今後、同社はクラウド活用によるシステム運用の柔軟性と拡張性を活かし、さらなる業務効率化やサービス品質の向上を目指す。

ニュースリリース


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