MIXI、New Relicでゲームサーバーの安定運用と効率化実現

2025年6月24日22:02|ニュースCaseHUB.News編集部
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 MIXIは、大規模オンラインゲーム「モンスターストライク」のサーバーシステム安定化と運用効率向上を目的に、オブザーバビリティ・プラットフォーム「New Relic」を採用した。6月24日、New Relicが発表した。

 MIXIは、コミュニケーションサービスやデジタルエンターテインメント事業を展開し、中でも「モンスターストライク」は2024年の国内モバイルゲーム収益ランキングで首位を獲得、2025年5月時点で世界累計利用者数が6400万人を突破するなど、MIXIの収益の柱となっている。サービスが盛り上がるイベント時や年末年始にはアクセスが集中し、システムの安定稼働が最重要課題となるため、予測できない負荷への対応や運用基盤の継続的な強化が求められていた。

 従来は自社開発の観測システムを利用していたが、問題発生時に必要な情報が揃わず、原因特定に時間がかかるケースが多かった。また、一部のエンジニアに依存した運用体制で属人性が高く、新メンバーの参入時には学習コストが課題となっていた。こうした背景から、標準的で誰もが活用できるツールへの移行が急務となっていた。

 New Relicの選定理由として、MIXIは導入の容易さやUIの分かりやすさ、社内他チームでの導入実績によるノウハウ共有のしやすさを重視した。既に「コトダマン」「家族アルバム みてね」などでNew Relicが活用されており、チーム間の連携が円滑になると判断された。また、ユーザー数やデータ量に応じた料金体系でコスト計画が立てやすく、多数のサーバーを運用するMIXIにとって魅力的だった。

 導入プロセスでは、2024年末にPoCを実施し、2025年1月から本格運用を開始。New Relic APMを活用し、モンストのユーザーからの通信を受けるファーストアプリケーションサーバーに導入した。データセンター内の物理サーバーとクラウド上のテスト環境の両方で活用している。観測対象は数百台のオンプレミスサーバで運用されるサーバーアプリケーション群で、開発・運用チームの約20名で観測結果を共有している。

 導入から約3カ月で、最も重要なイベントであるガチャの全体処理時間が200~300ミリ秒のうち20~30ミリ秒短縮され、約10%の高速化を実現した。これにより、ユーザー体験の向上とシステム安定性の強化が図られた。また、従来は数時間から1日を要していたデータベースのアクセスパターン分析が、New Relicの導入で画面を開くだけで即座に確認できるようになり、業務効率が向上している。

 MIXIデジタルエンターテインメントオペレーションズ本部モンスト開発部モンストサーバ2グループマネージャー王 奇氏は、「New Relic導入により、アクセスパターンの可視化が劇的に進んだ。以前はログベースで分析し、アクセス状況をグラフ化するのに数時間から1日かかっていたが、今は画面を開くだけで即座に確認できるようになった」と述べている。さらに、「今後は監視ツールのスキルレベルに関わらず、機能の動作やイベント開始時の変化を簡単に観測できる環境を構築し、グループの垣根を越えてNew Relicを媒介したデータに基づく意思決定を実現したい」と今後の展望を示した。

 MIXIではキャッシュ層の監視やエラー観測の強化など、より広範囲の観測も計画している。さらにAIによる自動監視やタイムリーなレポート生成など、AIを活用したパフォーマンス分析への期待も高まっている。MIXIは、New Relicの導入により、運用負荷の軽減やシステム安定性の向上、チーム全体の改善意識の高まりなど、多面的な恩恵を得ている。今後もNew Relicの機能を最大限活用し、安定したサービス提供とさらなるユーザー体験の向上を目指す。

ニュースリリース


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