原田左官工業所は、施工ノウハウの蓄積や顧客対応履歴の共有による業務効率化を目的に、Google WorkspaceとGeminiなどの生成AIを活用した業務改善の取り組みを開始した。5月21日、システム導入を支援したアルパカが発表した。すでに社内で使い慣れている既存の環境を活かし、現場のフローを壊さずに生成AIを日常業務に取り入れる環境づくりを進める。現場の知見を会社の共通資産とすることで、誰もが必要な情報に迷わずアクセスできる業務運用体制の構築を目指す。
1949年創業の原田左官工業所は、東京都文京区に本社を置く左官工事会社だ。常時60名以上の職人が在籍し、現場ごとに異なる多様な工法や仕上げに対応している。しかし、現場ごとの情報や施工ノウハウ、顧客対応履歴といった重要データが各担当者に分散しやすく、必要なときに必要な情報を引き出せる状態にすることが課題となっていた。また、営業窓口で受けた情報を工事の実行時に正確に伝える仕組みや、施工事例を紹介するブログ記事作成において、担当者ごとの知識や表現の差を解消して品質を一定に保つ仕組みも求められていた。
今回の取り組みでは、既存のGoogle Workspace環境を起点に、四つの支援を段階的に進めている。まず、施工事例や技術情報を発信するブログ作成の支援として、文章の型や役割を設定できるGeminiの「Gem」機能を活用した専用のAIアシスタントを構築した。指定の文体に合わせてAIが質問や構成案を提示することで、担当者の知見を活かした下書き作成の効率化を図る。
次に、資料を読み込ませて必要な情報を検索できるGoogleのAIツール「NotebookLM」を活用し、社内のドキュメントやPDF、テキストデータを整理。施工ノウハウや過去の事例、技術的な判断材料を特定の担当者だけに依存せず、社内で共有・参照できる状態を整える。
さらに、Google Chatのスペース設定やメール連携機能を改善し、依頼内容や進捗情報をチャットのスレッドへ正確に反映させる運用を整備した。既存の環境を変えることなく、関係者間での円滑な情報共有とタスク管理を可能にしている。加えて、担当者が日報を通じて自身の行動を振り返るための「内省日報Gem」も導入。AIが客観的な視点で質問やフィードバックを行うことで、業務改善に向けた対話と言語化の習慣化を後押しする。
今後は、今回の活用支援を土台として、サンプル制作管理、写真や工程情報の検索、工事指示書作成支援、技能伝承AIなどの活用についても段階的に検討を進める。
原田左官工業所代表取締役社長の原田宗亮氏は、「今回は、単にAIツールを導入するのではなく、社内メンバーが活用し始めているGoogle WorkspaceをベースにしたAI活用を重視しており、それに合った支援を頂いている。アルパカは我々のような中小企業の組織体制を理解したうえで、寄り添いながら導入支援をしてもらっており、社内に根付く仕組みになっている。現在進めているブログ作成や日報以外にも、今まで人員をかけて行っていた情報整理・共有など、身近な業務にもAIを活用していきたい」とコメントしている。