清水建設は、協力会社が利用する複数システムのID管理基盤を刷新するため、アイデンティティ管理サービス「Okta Customer Identity」を採用した。3月23日、導入を支援した日立ソリューションズが発表した。最大1万7000人が利用するシステムのログイン情報を一元化し、シングルサインオン(SSO)環境を構築。運用負荷の軽減とともに、セキュリティ体制の強化を図る。
建築や土木を柱に幅広い事業を展開する清水建設は、中期経営計画において経営基盤の強化を掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)による事業推進に取り組んでいる。その一環として、サプライチェーン全体での業務効率化が課題となっていた。
同社では、工事に関連する請求業務や完了報告業務など、協力会社向けに複数のシステムを提供している。利用者は最大6000社、1万7000名に及ぶが、従来はシステムごとに異なるログイン情報を個別に管理する必要があった。協力会社にとってIDやパスワードの使い分けが負担となっていたほか、管理者側でもメンテナンスを手動で行っていたため、不要なIDの削除漏れといったセキュリティリスクへの懸念が生じていた。
ID管理ツールの選定にあたっては、長期的に利用できる信頼性と豊富な実績を重視した。複数の候補の中からOkta Customer Identityを選定した決め手は、利用状況に応じてコストを適正化できる従量課金制の料金体系だ。数カ月に一度しかアクセスしないユーザーも含まれる大規模環境において、コストパフォーマンスを高く維持できる点を評価した。
導入パートナーには、清水建設の業務システムや社内IT環境に精通している日立ソリューションズを選定。2024年11月に本稼働を迎え、対象システムを順次拡大しながら運用を続けている。
新基盤の導入により、協力会社は1回のログインで複数のシステムを利用できるようになり、利便性が向上した。また、1年間ログインがないアカウントを自動的に削除する機能を実装したことで、手作業による棚卸しの手間を解消し、不要なアカウントが残り続けるリスクを排除した。一元管理化によって、ヘルプデスクの問い合わせ対応も迅速化されている。
今後は、従業員向けのID管理基盤の刷新も検討しており、クラウド型ID管理サービス「Okta Workforce Identity」を有力な選択肢としている。サプライチェーンの強化に伴い協力会社が利用するシステムの増加が見込まれる中、Oktaの拡張性を生かして現場で働く人々が利用するシステムへの適用拡大も目指す。
清水建設DX経営推進室主席マネージャーの富樫正明氏は、信頼性と実績を重視して採用を決めたと話す。最大1万7000名規模のシステムであっても、従量課金によりコストを最適化できる点が大きな決め手になったという。また、日立ソリューションズについては、同社のIT環境を熟知した高い技術力と知見が導入を支えてくれたと評価している。今後はさらなる利便性向上に向けた継続的な支援を期待しているとしている。