日立、がん検診受診の意向70%に アフラックらと「職域版キャンサーエコシステム」検証

2025年12月23日13:42|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日立製作所(以下、日立)は、従業員のがん理解促進と行動変容を促す「職域版キャンサーエコシステム」の実証実験を完了した。12月23日、共同で取り組みを推進したアフラック生命保険(以下、アフラック)、日立、GlobalLogic Japan(以下、GlobalLogic)が発表した。日立の従業員約3000人を対象とした検証により、がん検診の受診に前向きな意思を示した従業員が70%に達するなど、意識向上に一定の効果を確認した。今後、日立グループ内での展開や他企業への提供を通じ、従業員のウェルビーイング向上への貢献を目指す。

 日本人が生涯でがんと診断される確率は約2人に1人とされ、その約30%が就労世代である。企業においても従業員の健康管理は重要な経営課題だが、制度の認知不足やがん検診への意識の低さから、予防や罹患者へのサポートが十分に活用されないという課題があった。日立においても、ヘルスケア施策の認知率や、若年層を中心としたがん検診への意識、保険代理店との接点の限定などが課題となっていた。

 こうした背景から、アフラック、日立、GlobalLogicの3社は、2022年12月から職域版キャンサーエコシステムの構築に向けた検討を開始した。アフラックが持つがん保険の知見、GlobalLogicのデザイン手法、日立の価値協創ノウハウを融合させ、従業員の行動変容を促す施策を具体化した。施策の策定にあたっては、日立の人事部門や健康保険組合、企業系列の保険代理店である日立保険サービスとも連携し、実効性を高めてきた。

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 今回の効果検証は、2025年4月から11月にかけて実施された。GlobalLogicによる、個人の自由な選択を尊重しつつ望ましい行動を促す「行動のデザイン」の手法を導入した。具体的には、日立保険サービスとともにがんセミナーの周知方法を改善し、アーカイブ配信を導入するなどの施策を講じた。検証では「がんを意識する機会」「がん検診の受診機会」「がん保険の検討機会」の3つを指標(KPI)として有効性を確認した。

 検証の結果、がんセミナーの認知率は約20%向上した。参加者へのアンケートでは、約70%が「がん検診を受けようと思った」と回答し、検診受診や保険加入に対して前向きな意識の変化が見られた。また、セミナー参加やアーカイブ視聴を通じて、日立保険サービスへの保険相談も増加し、三つの指標すべてで成果を確認している。

 今後は、今回の実績をもとにプログラムをさらに充実させる計画だ。アフラックとGlobalLogicは、デジタルエンジニアリング力を活用し、エコシステムを実現するプラットフォームの設計や実装の検討を進める。日立は、グループ全体の人的資本・健康経営を推進するため、まずはグループ内への展開に向けた検討を開始する方針だ。

ニュースリリース