東京電力グループで総合エネルギーサービス事業を展開する日本ファシリティ・ソリューション(JFS)は、設備の予知保全や経営の意思決定に活用するための全社データ活用基盤を構築した。システム基盤には、ウイングアーク1stのデータ分析基盤「Dr.Sum」とデータ活用プラットフォーム「MotionBoard」を採用した。2月13日、ウイングアーク1stが発表した。データ収集の自動化と一元管理を実現したことで、意思決定の質を高め、データドリブン経営を加速させたい考えだ。
JFSは、大規模施設向けの省エネ改修と運用最適化サービスや、熱源設備などを一括で運営するエネルギーセンター事業、企業全体のエネルギーを遠隔で可視化・最適化するエネルギーマネジメントサービスなどを主力としている。同社は2023年に「全社データ活用構想」を策定。長期保管しているデータを活用した予知保全やサービスの最適化、データドリブン経営の実現を目指す方針を打ち出した。
しかし、従来はデータが複数のシステムに分散しており、設備ごとの仕様差も大きかったため、既存のツールではデータの収集自体が困難な状況だったという。また、Excelを中心とした業務が定着していたことでデータ収集が属人化し、手作業による加工工数の増大や、過去から将来にわたる横断的な分析が難しいといった課題を抱えていた。システムリプレースに伴うデータ項目の変更により、蓄積データの連続性が保てないことも大きな障壁となっていた。
こうした課題を解決するため、JFSはAPI連携によるデータ取り込みの自動化が可能で、データウェアハウス(DWH)とBI(ビジネスインテリジェンス)が密接に連携できるDr.SumとMotionBoardを導入した。併せて、システム化されていない現場のExcelデータなどを効率的に収集する「SmallData Manager」も採用し、スモールデータを含めて一元管理可能な環境を整えた。
新データ活用基盤は2024年11月に本格稼働を開始した。既に具体的な導入効果が複数確認できているという。ダッシュボードで設備運転状況の実績と計画を比較してチューニングに役立てており、太陽光発電による電気を送配電ネットワーク経由で送る自己託送の運用サービスでは、MotionBoardから30分単位で予測値と実績値とのズレを分析し、精度の高い補正処理が可能になったとしている。
経営管理の面でも効果が表れている。中期計画の予算策定では、従来は複数部署からExcelでデータを回収・集計していたが、現在はダッシュボード上で過年度の推移や今後の計画を容易に比較できるようになり、全社的な意思決定が迅速化した。
データ連携の自動化による工数削減効果も顕著だ。案件情報や各設備の運転データを取り込む際の加工作業が従来は週1回以上発生していたが、Dr.SumのAPI経由やバッチによるファイルの自動取込で自動連携が可能になった。現場に散在していた形式の異なるExcelデータもDr.Sumへ集約されたことで、情報の連続性が確保され、ユーザー部門にとって利便性の高い分析環境が実現した。
今後、JFSはAI機能の活用も視野に入れ、データ活用基盤のさらなる強化を検討している。得られた観測データを最大限に活用し、サービス品質の向上と業務の全体最適化を推進していく方針だ。