豊田合成は、SIRCが提供するクラウドサービス「SIRCクラウド」やIoTセンサを活用し、生産設備における電力ロスの自動解析システムを構築した。9月3日、SIRCが導入事例を公開した。従来は手作業で行っていたデータの抽出やグラフ作成、電力ロスの分類を自動化することで、解析作業にかかる時間を約83%短縮した。設備のムダな電力消費を早期に特定し、現場主導の省エネ改善を進める。
豊田合成はトヨタグループの高分子専門メーカーとして、自動車部品などを手がけている。同社は長期環境目標「TG2050環境チャレンジ」を策定し、カーボンニュートラルの達成に向けて各工場の日常改善による省エネ活動を推進している。
従来、同社のカーボンニュートラル・環境推進部では、代表的な工程に常設型計測器を設置する一方、その他の設備には可搬型の計測器を持ち込んで電力データを取得していた。しかし、可搬型計測器は重量があり、分電盤内に収まらないケースや配線の取り回しに手間がかかる課題があった。さらに、計測後のデータは記録媒体からパソコンに取り込み、表計算ソフトを用い手作業でグラフを作成していた。設備の稼働状況を把握するために手書き日報と突き合わせる作業も必要で、1工程あたりの分析に約60分を要するなど、データを見える化しても具体的な改善施策へ迅速につなげにくい点が負担となっていた。
こうした課題を解消するため、同社は設備ごとのデータを低コストかつ容易に収集できる仕組みの検討を開始した。オープンイノベーション推進部門の仲介を通じてSIRCと出会い、豊田合成が持つ電力ロス低減の知見と、SIRCのセンシングおよびクラウド技術を組み合わせた共同開発に着手した。
開発過程では、短周期で変動する電力波形を正確に捉えるため、SIRC側で出力周期を0.2秒間隔に高速化したモデルを開発した。さらに、光電スイッチの信号から生産数量を取得する「IoTデジタル入力ユニット」も新たに開発。電線にクランプするだけで設置できる「IoT電力センサユニット」による消費電力データと、設備の稼働データをSIRCクラウド上で統合する仕組みを整えた。
新システムでは、取得した電力と生産データを組み合わせ、電力ロスを「休日」「生産停止中」「立上げ」「立下げ」の4パターンに自動分類する。分類ごとの電力消費量や構成比が可視化されるため、改善に着手すべき設備や時間帯の優先順位を判断しやすくなった。実証対象となった樹脂押出成形工程と樹脂射出成形工程では、週明けの生産開始時刻より4時間以上早く設備が立ち上がっていた事象など、従来把握できていなかったムダを発見できた。また、データ処理と解析にかかる時間は従来の約60分から約10分へと短縮された。
同社では得られたデータを基に、まずはタイマー設定の見直しや停止時の電源オフといった運用改善を優先して実施している。さらに、樹脂押出機のシリンダーに断熱ジャケットを装着する設備改善にも活用し、温度保持に要する電力量を26%削減できた効果を数値で確認した。
今後は、国内関係会社への水平展開を順次進め、連絡会や勉強会を通じて成果を共有する計画だ。将来的にはサプライチェーン全体の脱炭素化を見据え、仕入先企業への展開も視野に入れている。