飛騨市、行政業務効率化へ生成AI実証実験 国産クラウド基盤で文書作成支援

2025年12月22日14:07|ニュースCaseHUB.News編集部
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 岐阜県飛騨市は、行政業務におけるAI活用の有効性検証を目的に実証実験を開始した。システム基盤として、さくらインターネットの「さくらのAIソリューション」を採用した。12月22日、さくらインターネットが発表した。議事録作成や文書検索などの業務で生成AIを活用し、業務効率化や職員のAIリテラシー向上を図るほか、機密性の高い行政情報の取り扱いにおけるセキュリティ面での課題などを検証する。

 飛騨市は、人口減少社会において行政サービスの質を維持・向上させるため、デジタル技術の積極的な活用を進めてきた。これまでも「書かない窓口システム」の導入やデジタル人材育成に取り組んできたが、生成AIの活用においては、行政情報特有の機密性の高さや、海外サーバーへデータが送出されることへのセキュリティ上の懸念が導入の障壁となっていた。

 こうした課題に対し、飛騨市はさくらインターネットが提供するさくらのAIソリューションを採用した。同サービスは国内のデータセンターで運用される専有GPU環境を基盤としており、データが国内で完結するため高いセキュリティ性が確保できる点を評価した。また、月額固定で利用できるコストの見通しの良さや、業務アプリケーションの開発・導入を支援するサポート体制も採用の決め手となった。

 実証実験では、さくらのAIソリューションが提供する「議事録作成アプリケーション」や、RAG(検索拡張生成)機能を備えたチャットアプリケーション「InfiniCloud AI パッケージ」を活用する。期間は2025年12月22日から2026年3月31日まで。議事録の作成や条例関連の文書検索といった日常業務にAIを取り入れ、業務時間の短縮効果や使い勝手を検証する。

 さくらインターネットは今回の実証実験において、同ソリューションを無償で提供する。導入研修から業務利用、効果検証までのプロセスを通じ、行政現場の実務におけるAIの貢献度を確認するとともに、安全な活用方法についての知見を蓄積する。

 飛騨市市長の都竹淳也氏は、「人口減少社会で行政サービスの質を維持するには、生成AIなどによる業務効率化が不可欠だ。行政情報は機密性が高く、セキュリティの懸念があったが、国内データセンターで完結する環境であれば安心してデジタル技術の可能性を探求できる。職員のスキル向上を図り、市民に寄り添う質の高い行政運営を目指す」と話している。

ニュースリリース