百五銀行は2月27日、銀行業務における人手依存の解消を目的に、生成AIとAIエージェントを活用した業務改革に取り組むと発表した。2026年度から、住宅ローンの事前審査などの実業務に順次導入していく。システムの開発にあたっては日立製作所の支援を受け、約半年間にわたる共同での効果検証を通じて、住宅ローン業務の作業時間を従来の約3分の1に短縮できることを確認した。行員をより高付加価値な業務へシフトさせることで、サービス品質の向上と収益力の強化を図る考えだ。
三重県を拠点とする地方銀行の百五銀行は、全国の地域金融機関における住宅ローン増加額で上位を維持するなど一定の成果を上げているが、さらなる成長に向けて業務プロセスの最適化を進めている。特に住宅ローンの事前審査業務では、物件資料や図面といったフォーマットの異なる非定型帳票が多く、行員が目視で内容を確認してシステムへ手入力する転記業務が大きな負担となっていた。また、入力内容の整合性を確認する後続業務も担当者のスキルに依存しており、作業時間のばらつきや審査回答までの時間が課題となっていた。
今回の取り組みでは、生成AIとAIエージェントを組み合わせることで、一連の業務の「自動化・自律化」を推進する。まず、非定型書類からの情報抽出に生成AIを活用し、行内システムへのデータ登録を自動化する。これにより、行員はシステムへの登録結果を確認するだけで業務を完結できるようになる。さらに、データ登録後の後続業務にはAIエージェントを導入。AIエージェントが申込内容との整合性や妥当性を自律的に分析し、潜在的なリスクを判定して審査担当の行員に提示する。行員が最終的な判断に専念できる役割分担を確立することで、業務負荷の軽減だけでなく、アウトプットの均一化による業務品質の向上も目指す。
百五銀行と日立製作所は、ネットとリアルのチャネルをシームレスにつなぐ「Branch in Mobileサービス」などの導入を通じて、これまでも銀行業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を共同で推進してきた経緯がある。両社が2025年8月から2026年2月まで実施した効果検証では、住宅ローン業務で1件あたりの作業時間を従来の約20分から7分以下に短縮できたという。AIによるアウトプットも一定の品質に達していると認められたため、実業務への導入を決定した。
今後は住宅ローン業務を起点に、生成AIとAIエージェントの適用範囲を幅広い業務へ拡大していく方針だ。事務作業の効率化によって創出された人財リソースを、顧客へのコンサルティング強化や地域課題の解決といった高付加価値業務に集約する。