第一工業製薬、排水処理のAI監視で異常兆候を早期検知 属人化解消とリスク低減へ

2026年2月26日00:21|ニュースCaseHUB.News編集部
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 第一工業製薬は、大潟工場において排水処理施設の安定稼働を支援するAI早期警戒システムを採用した。2月25日、AIソリューションを提供するHACARUSが発表した。カメラによる常時監視とAIによる自動検出を組み合わせることで、水面の異常の兆候を早期に捉え、操業リスクの低減と管理業務の標準化を図る。

 第一工業製薬は、界面活性剤などの工業用薬剤やライフサイエンス関連製品を展開する化学メーカーだ。経営の重要課題として環境負荷低減を掲げており、製造工程から排出される水の浄化プロセスを担う排水処理施設に対して、これまでも高度な管理体制を構築してきた。

 しかし、従来の管理体制には課題があった。現行のプロセスでは異常値を検出した時点で既に処理槽の状態が悪化していることが多く、機能の回復には多大な時間とコストを要していた。また、排水処理の状態が悪化すれば生産ラインの停止を招くリスクもある。加えて、担当者による定期巡回では夜間や休日の異常に迅速に対応できないことや、水面のスカム(浮遊汚泥)や泡の状態から異常の兆候を判断する工程が担当者の経験に依存しているという属人化の問題も抱えていた。

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24時間監視の対象となる排水処理施設

 こうした課題を解決するため、第一工業製薬はHACARUSのAI早期警戒システムを選定した。本システムは、カメラ映像を通じて水面を24時間365日体制で常時監視し、異常の兆候を自動で検出する。屋外環境特有の課題にも対応しており、水面に浮遊する汚濁固形物(スカム)が、風によって移動・集積する現象である風によるスカムや油膜の移動を広範囲の映像で捉えるほか、雨や雪による映像の乱れを排除して誤検知を抑制する。さらに、処理過程で自然発生する良性の泡と、異常の兆候となる浮遊物を高精度に判別できる点が特長だ。

 導入にあたっては、現場環境での実証を通じて環境ノイズや変化への耐性を考慮したAIの設計と運用調整が行われた。これにより、屋外施設での安定した運用の可能性を確認した上で、本格的な導入に至った。

 システム稼働後は、人手による巡回が困難だった時間帯も含めた常時監視が可能になり、トラブルへの早期対応体制が整った。従来は担当者の経験に依存していた良性・悪性の判断についても、AIが一定の基準で判定を行うことで判断の標準化が進み、属人化の解消につながっている。

 今後は、AIが蓄積する映像データを活用した異常発生の要因分析や、運転条件の最適化に取り組む計画だ。第一工業製薬は、さらなる業務効率化と環境負荷の低減を目指し、高度な施設管理を推進していく。

ニュースリリース