木曽町教育委員会は2月27日、文部科学省が提唱する「次世代型校務DX」の実現に向け、「Google Workspace for Education Plus」を中核とした新しいICT基盤を整備したと発表した。システムの導入・運用は電算システムが支援している。ゼロトラストモデルへの移行により、校務系と学習系のネットワークを一本化し、強固なセキュリティと場所を選ばない教育活動の両立を目指す。
木曽町ではGIGAスクール構想第2期への移行に伴い、クラウド活用を前提とした安全な教育環境の構築を決断。従来は「学校内だから安全」という考えのもと、境界防御モデルの環境下で校務系と学習系の回線を物理的に分離して運用していたが、進化するサイバー攻撃への対策や、人的ミスによる情報漏えいを防ぐためのより強力な管理体制が必要だという問題意識があった。また、2026年4月に予定されている「木曽町中学校」への統合を見据え、校内外を問わず一貫して教育活動を継続できるインフラの整備も不可欠となっていた。
今回の刷新では、ネットワークの場所で安全性を担保するのではなく、「誰が」「どの端末から」アクセスしているかを厳密にチェックする仕組みを導入した。教職員の校務用端末としてChromebook、プラットフォームにはGoogle Workspace for Education Plusを採用。ネットワークは校務系・学習系の回線分離を廃止し、Googleの認証基盤を使ったゼロトラストモデルに移行した。Chromebookの利用では多要素認証による本人確認を必須としている。
データは全てクラウド上に保存され、外部への不用意な共有をシステムが自動的に監視・制限する。これにより、紛失時の遠隔初期化が可能になるなど物理的な紛失リスクへの対策を強化した上で、これまで制限されていたUSBメモリへの依存を排除し、校外への端末持ち出しによる柔軟な働き方を実現したという。
また、教育現場では、Google Workspace for Education Plusに含まれる学習管理ツール「Google Classroom」を通じて児童生徒の学習状況をリアルタイムに把握できるようになり、指導の個別最適化が可能になった。また、クラス全員の意見を瞬時に共有し、教室と自宅などの校外をつないで共同で資料を作成する協働的な学びも、高い安全性を保ったまま安定して行える環境が整ったという。
プロジェクトの推進にあたっては、運用ルールの策定に現場の声を反映させる手法を採用した。教育委員会が一方的にルールを決定するのではなく、教職員から選出された「DX人材メンバー」が中心となり、Googleドライブの活用方法や情報管理ルールを自ら策定。これにより、現場が主体となって業務効率化に取り組む体制を構築した。
新たなICT基盤は、半年間の安定稼働を経て、業務効率化などの成果が確認されているという。今後は、2026年8月頃からより厳格な運用ルールを開始する予定だ。木曽町教育委員会は、この新しい土台を活用して教育の質向上を進めるとともに、現場の教職員と協力して運用のブラッシュアップを継続するとしている。