東急は、会員数約250万人を抱える共通ポイントサービスのシステム刷新で、プロジェクト管理ツール「Backlog」を採用した。4月28日、同製品を提供するヌーラボが発表した。20年ぶりとなるシステム刷新の開発プロジェクトから、その後の運用保守フェーズまでを同一の環境で一貫して管理する体制を構築。開発と運用の情報の分断を防ぐことで、タスク漏れの防止やナレッジのスムーズな継承につなげているという。
東急は2023年、「TOKYU POINT」のモバイルアプリや会員Webサイトについて、大規模なシステム刷新プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトには自社の内製開発部門や複数のグループ会社が関与し、関連システムも約20に及んでいた。そのため、部門をまたぐ要件調整や合意形成に多大な工数を要しており、多層的な構造における進行管理と、リリース後の安定した運営を両立させることが課題となっていた。
その解決策として同社が導入したのがBacklogだ。システム部門とビジネス部門の双方が直感的に使いやすいプロジェクト管理ツールである点を評価したという。導入にあたっては運用ルールやテンプレートをWikiに集約し、標準化を徹底した。担当者や期限、完了条件の認識を揃えることで、部門をまたいだチームメンバーが共通認識を持って業務を進められる環境を整えた。
意思決定プロセスの可視化も進んだという。決定事項の結果だけでなく、議論の過程や背景を課題やコメントに記録する運用を定着させた。これにより、設計書だけでは把握しにくい判断の経緯を誰もが追跡できる状態になった。口頭での依頼を避けて記録を残す文化を醸成したことで、部門間の認識のずれを防ぎながら合意形成を促進したとしている。
2026年2月にTOKYU POINTの刷新プロジェクトはリリースを迎えたが、開発工程の終了後も障害対応や不具合管理の基盤としてBacklogを継続的に活用している。重要度の高いシステムアラートを自動で課題として起票する仕組みを構築したほか、顧客からの問い合わせや現場で検知された不具合も同一の環境に集約した。情報の一元化によりタスク漏れによるリスクを早期に防ぐと同時に、ナレッジが組織内に共有されることで、新たに参加するメンバーへの引き継ぎもスムーズになった。
東急の担当者は、「大規模なシステム刷新から運用フェーズまでを一体で管理できる体制を構築したことで、プロジェクトの進め方や情報共有のあり方にも変化が生まれている。メンバー同士が論点を整理しながら相談し合う『証跡を残す文化』が根付きつつある」と手応えを語る。今後はAIアシスタントの活用も視野に入れ、チームの自律的な活動をさらに加速させたい考えだ。