沖電気工業は、全社的な経営基盤の刷新とデータ駆動型経営への移行を目的に「GROW with SAP」を採用した。6月30日、同サービスを提供するSAPジャパンが発表した。
沖電気工業は「進取の精神」を掲げ、情報社会の発展に寄与する商品を提供し、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献することを企業理念としている。中期経営計画2025のもと、「グローバル」「イノベーション」「事業ポートフォリオの変革」、そしてこれらを支える「人的投資」を成長ドライバーとした価値創造プロセスを推進してきた。こうした事業環境の中、グループ一体経営とデータ駆動型経営への転換が急務となっていた。
背景には、従来の社内ITシステムが部門ごとに個別最適化されていたことがある。業務の多くが人手に依存し、データの一貫性や効率性に課題があったため、全社レベルでの情報活用や可視化の高度化が求められていた。また、グローバルな規制対応やM&Aの加速に向け、柔軟性と拡張性を備えた共通の経営基盤の整備が不可欠だった。
こうした課題を解決するため、沖電気工業はSAPが提供するGROW with SAPの採用を決めた。SaaS型ERPであるSAP S/4HANA Cloud Public Editionを中核に据え、標準的な業務モデルを活用したFit to Standardのアプローチにより、業務プロセスのグローバル水準での標準化を図る。これにより、シンプルかつスケーラブルな経営基盤を構築し、迅速な経営判断を支えるデータ活用基盤として活用していく。
導入は、SAPジャパンがプロジェクトを支援する。SAP Business Technology Platformを活用し、差別化が求められる業務領域にはERPシステムへの変更を加えないSide-by-Side開発を適用することで、クリーンコアを維持しつつ柔軟性も確保する。また、将来的にはSAPのAIデジタルアシスタント「Joule」やSAP Business Data Cloudを活用した経営状況や予実管理のリアルタイム可視化も視野に入れ、経営判断の高度化と業務タスクの自動化を段階的に推進する計画だ。
今回のプロジェクトを通じ、沖電気工業は全社的な経営基盤を刷新するだけでなく、GROW with SAP導入で得た知見をITソリューション外販事業の差別化要素としても活用し、社内外双方で新たな価値創出の機会拡大を目指す。
今後は、SAP S/4HANA Cloud Public Editionの6カ月ごとの機能アップデートを活用し、AIによる経営判断のさらなる高度化や業務自動化の取り組みを継続的に進めていく。
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