野村不動産HD、クラウドID管理サービス「Keyspider」で業務効率化とコスト削減を実現

2024年11月14日23:21|ニュースCaseHUB.News編集部
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 野村不動産ホールディングスは、アクシオが提供するクラウドID管理サービス「Keyspider」を導入した。アクシオが2024年11月14日に発表した。

 野村不動産ホールディングスは、住宅分譲をはじめ、住宅都市開発や都市管理などを手掛ける総合不動産業として、多岐にわたる事業を展開している。近年は、アジア地域への展開も進めている。

 同社は、顧客のデータを蓄積・分析できる基盤を整え、商品・サービスの価値の向上を図ることや、各事業の成長に貢献するため、業務の効率性と利便性を高めることを目指している。そのために、情報セキュリティの要であるIDガバナンスを高い水準に引き上げ、IGA(Identity Governance and Administration)の推進を行うため、ID管理システムの刷新を決めた。

 ID管理システムの刷新にあたり、既存のID連携を変えずに今後導入が見込まれるクラウドサービスとも柔軟なID連携を実現し、ID活用の高度化を進めること、異動やワークフロー申請における、リアルタイム、かつ自動でのシステム反映、ハードウェア、ソフトウェア更改による雪だるま式のコスト増大からの脱却と、運用内製化による運用コストの削減が要件だった。

 複数製品を比較検討した結果、Keyspiderは日本企業の組織構造や風土を前提に設計された製品であり、同社の求める機能がはじめから多く備わっていたこと、カスタムできる項目が最大99個と多く、柔軟性が高いこと、フィット&ギャップ分析の結果、同社が定義した業務要件に対しKeyspiderは約8割を単体で実現でき適合度が高かったことから導入を決定した。

 アクシオは、Keyspider単体では実現されなかった要件に対し、追加機能の開発を検討し、前処理・後処理プログラムを加える解決策を提案した。具体的には、前処理プログラムとして、IDの源泉となる人事システムのデータをKeyspiderが取り込めるよう成形、後処理プログラムとして、Keyspiderから出力したデータを適切に同期するため変換処理をする仕組みを、メンテナンス性を考慮して疎結合で構成するものだった。それらをAWS環境の野村不動産グループ共通のクラウド基盤「Garden」に実装させる形となった。

 アクシオは、クラウドベースのサーバーレスアーキテクチャの採用にも柔軟に対応した。AWSのLambdaやStep Functionsを利用したことで、サーバーレスが実現でき、さらにはメンテナンスフリーとなり更改が不要になった。

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Keyspiderを中心とした本件システム概要図

 Keyspiderの導入により、新たなクラウドサービスとの連携が即座に実現し、既存のオンプレミスとのID連携は現行保証された。また、異動やユーザーからの申請に対し、ワークフローの対応やライセンス追加などの運用作業を自動化し、約50%の業務作業の削減を実現した。コスト面では、内製化や業務効率化の実現により、システム運用コストを41%削減した。さらにKeyspider × AWSのサーバーレス構成により、ハードウェア/ソフトウェア更改から脱却し、業務改善・機能拡張に人的リソースとコストを割り当てられるようになった。

 野村不動産ホールディングス ICTマネジメント部長の川合氏は、「ID管理は、業務管理システムのカギであり、ID管理を最適化・強化することは野村不動産グループ全体のシステム基盤が最適化・強化されると考え、ID管理システムの刷新を決断した。刷新するといっても、『今あるID管理システムをただアップデートする』ということではなく、『ID管理に加えIDガバナンスの強化も両立する、という我々にとってのIGAの理想像を再検討し、実現する』という考えを念頭に置いた」とコメントしている。

 野村不動産ホールディングスは、今後、Keyspiderの拡張項目の一つに、Felica(カード読み取りシステム)のIDを割り当てることで、スマートフォンでの入退室管理や社内キャッシュレスシステムとのIDを基点とした連携を目標として掲げている。 異なるグループ会社に所属していても同じプロジェクトにアサインされた者同士でリアルタイムに情報を共有したり、クラウドで共同作業を行ったりと、物理的にもシステム的にもボーダーレスな環境を目指していく。

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