国際協力機構(JICA)は、多様化する海外投融資業務への対応力強化を目的に、「海外投融資システム」を採用した。5月19日、同システムの構築を支援した日本IBMが発表した。
JICAは、日本の政府開発援助(ODA)を担う中核機関として、開発途上国の経済・社会課題解決に向けた融資や投資、技術協力などを展開している。近年は、民間資金の動員や多様な通貨・融資条件への対応、グローバルなニーズの高まりを受け、オペレーション基盤の高度化が喫緊の課題となっていた。こうした事業環境を背景に、JICAは国際標準に準拠した新たな基幹システムの構築を決定した。
システム選定にあたり、国際開発金融機関や民間金融機関で実績のあるFinastraの「Loan IQ」を中核プラットフォームとして採用した。Loan IQは、円建て、米ドル・ユーロ建て、現地通貨建ての融資案件に対し、取引情報の登録から承諾、貸付の実行・回収、利息・手数料計算、完済までのライフサイクル全体をパッケージの基本機能で一元管理できる点が評価された。これにより、JICAは複雑化する融資業務の効率化と最適化、柔軟な商品設計の実現を期待している。
導入プロセスでは、JICA、日本IBM、Finastraの三者が共同でシステム構築と移行を推進した。日本IBMは、公共・金融領域での知見やFinastra製品との連携実績を活かし、開発からデータ移行、ユーザー教育まで一貫して支援した。5月19日には新システムが本稼働し、JICAの海外投融資業務のミッションクリティカルな基盤が整備された。
新システムの導入により、JICAは海外投融資業務における網羅性、柔軟性、正確性、業務効率性の向上を図るとともに、将来的な商品の見直しや新たな通貨への対応など、グローバルなニーズへの迅速な対応が可能となる。今後は、システム運用保守を通じて、JICAが多様な資金ニーズに応え、開発途上国の社会課題解決に向けた民間資金動員をさらに進めていく。
JICAは「海外投融資システム」の稼働を通じて、国際標準に準拠した汎用性の高い基幹システムを確立し、より多様な融資条件やグローバルな要請に柔軟に対応できる体制を強化した。引き続き、安定的なオペレーション基盤のもと、国際協力の推進と社会的インパクトの拡大を目指す。
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