全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)は、次期(第4次)でんさいネットシステムの構築ベンダーとして日本電気(NEC)を選定した。7月4日、NECが発表した。手形・小切手の利用廃止に向けた社会的な動きに対応し、システムの堅牢性を維持しながら事業環境の変化に柔軟に対応できる拡張性を確保する。新システムの開発は2025年7月に開始する予定だ。
でんさいネットは、手形や売掛債権の問題点を克服した電子記録債権「でんさい」を扱うサービスを2013年から提供している。政府が「紙の約束手形、小切手の利用廃止」の方針を示し、「2026年度末までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにする」という目標を掲げる中、でんさいネットは手形・小切手機能の電子化に向けた取り組みを進めている。
こうした背景から、でんさいの仕組みを支える現行システムは、金融機関の新しいサービスへの適応や将来の環境変化への対応が課題となっていた。そこで、第4次でんさいネットシステムの構築にあたっては、社会インフラを担うミッションクリティカルシステムとして必要な堅牢性と、未来の環境に柔軟に対応できる拡張性の両立を目指すことになった。
第4次でんさいネットシステムは、主に三つの特徴を持つ。一つ目は、事業環境の変化に柔軟に対応するシステム設計だ。従来の一体的なシステム設計(モノリシックアーキテクチャ)から、機能ごとに分離されたマイクロサービスアーキテクチャに変更することで、既存機能の修正や新機能の追加が容易になるという。
二つ目は、ハイブリッドシステムの活用による堅牢性と拡張性の両立である。データベース関連機能はオンプレミス環境に配置して堅牢性を維持し、アプリケーション関連機能はクラウド上に配置することでシステムの拡張性を確保する。三つ目はレジリエンスの強化だ。分散配置されたシステムの情報を常時取得してリアルタイムで状況を把握できるようにし、障害発生時の迅速な原因特定と早期復旧を可能にする。
NECは2024年11月に稼働を開始した「でんさいライトシステム」の構築で培ったノウハウも活用し、新システムの安定稼働を目指すとしている。