ポーラ、顧客の自宅ケアを支援するAI活用で再分析率1.4倍に

2025年11月6日22:10|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ポーラは、顧客のブランドへの愛着醸成と継続利用を目的に、SELFのコミュニケーションAI「SELF-AI」を採用した。11月6日、SELFが発表した。同社のパーソナライズブランド「APEX」のアプリ内コンテンツに搭載することで、店頭での肌分析後の自宅でのケア習慣化を支援する。コンテンツ利用者は未利用者と比べ、次の肌分析への再来店率が1.4倍に向上する効果を確認した。今後は利用者の拡大と、ポーラ全体のお客様に向けたコンテンツの進化を目指す。

 APEXブランドの課題は、新規顧客の継続利用率の低さであった。従来の顧客は愛用を続けていたものの、新しい顧客に対して、店頭での接客後に自宅で継続利用を促すための仕組みが不足していた。この課題を補強するため、ポーラは顧客との愛着やロイヤルティを形成できるチャットボットの検討を開始した。

 同社は2021年のPoC(概念実証実験)を経て、2024年7月のアプリリニューアルに合わせて本導入に至った。選定の決め手は、他社製品と比較してカスタマイズの幅が最も広かった点と、機能ごとに詳細な見積もりが提示され、完成図が明確に想像できた点である。同社は、パーソナライズ体験をより深めるため、自宅でのケアに伴走する仕組みとしてチャットボットが最適であると判断した。導入にあたっては、販売現場へのヒアリングを起点に会話内容を構築し、薬機法などの規制との両立に苦心した。

 導入効果として、コンテンツの利用者は未利用者に比べ、再分析率が1.4倍に上がった。これはPoC時の値と比較しても約3倍にあたる成果だ。同社は、自宅でケアの習慣づけができ、再来店への意欲が高まった点を成功と評価している。また、顧客からはアプリ内でキャラクターに「名前を呼んでくれた」ことに対し、「かわいい」「嬉しい」といった、従来の肌分析にはなかった感動体験が生まれたという声が上がった。

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ポーラアプリ内「肌ログme」に導入されたSELF-AI搭載の対話コンテンツ

 SELFの対応について、ブランドクリエイティブ部APEX新価値開発チームの前川美穂氏は、「ユーザー目線と開発者目線でお話ししてくださり、とても柔軟にご対応いただいた」と評価する。また、同チームの仲友紀恵氏も、「無理難題やわがままも全て受け止めてくれ、建設的に優しくフィードバックやご提案をしてくださったので、一緒に進める上でベンダーがSELFで良かった」と述べている。

 ポーラは、まずコンテンツの利用者を増やすことを当面のテーマとする。今後はAPEXに限定せず、ポーラ全体のお客様に楽しんでもらえるコンテンツに進化させたい考えだ。将来的には、顧客の購入履歴や肌データ履歴を蓄積する「ポーラプレミアムパス」と連携し、自宅でのケア方法を含めた顧客ニーズを叶える提案を目指す。

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