山形屋と名鉄生活創研、ギフト配送業務を共同化 繁忙期の物流処理3割削減へ

2025年12月22日13:53|ニュースCaseHUB.News編集部
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 山形屋と名鉄生活創研は、中元・歳暮ギフトにおける物流業務の効率化を目的に「百貨店共同配送」へ参画することを決定した。12月20日、システムの運営と業務支援を担う三越伊勢丹システム・ソリューションズ(IMS)と三越伊勢丹ビジネス・サポート(IMBS)が発表した。2026年の中元期から運用を開始し、繁忙期の自社物流処理件数を削減することで、要員配置の最適化や配送リードタイムの短縮を図る。

 山形屋は鹿児島市に本社を置く老舗百貨店。一方、名鉄生活創研は名鉄グループの小売事業会社で、生活雑貨店「ロフト」やスーパー「成城石井」のフランチャイズ運営のほか、地域産品を扱う直営店「名鉄商店」などを展開している。百貨店業界や小売業界では中元や歳暮の贈答品需要が依然として大きく、特定の時期に物流業務が集中することが恒常的な課題となっていた。また、物流業界における労働力不足やコスト上昇といった市場環境の変化に対応するため、個社ごとの対応ではなく業界全体での効率化が求められていた。

 両社が参画するのは、IMSおよびIMBSが提供するクラウドサービス「百貨店共同配送システム」を活用した物流プラットフォームだ。この仕組みは、2003年に「A・D・O(全日本デパートメントストアーズ開発機構)食品ギフト共同配送システム」として発足し、三越や伊勢丹を含む主要百貨店が参加して進化を続けてきた。2020年からはIMSとIMBSがシステムと運営を担当しており、今回の2社の参画により利用企業は計14社となる。

 この共同配送システムは、百貨店各社がメーカー、卸売業者、梱包業者、配送業者と協業し、届け先近隣の物流拠点(HUB)から商品を発送する仕組みだ。受注から伝票発行、配送までを一気通貫で管理できる共同利用型の基盤となっている。梱包業務は国分が一括して対応し、配送はヤマト運輸へ集約されている。特筆すべき点は、各百貨店独自の包装紙利用を維持できることであり、百貨店としてのブランドイメージやサービス品質を保ちながら、バックヤード業務である物流プロセスの標準化と共有化を可能にしている。

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共同配送システムの概要

 山形屋と名鉄生活創研は、このプラットフォームを利用することで、繁忙期における自社物流処理件数を、利用前に比べ平均約3割削減できると見込んでいる。これにより、物流現場の業務負荷が大幅に軽減され、要員配置の最適化や、より付加価値の高い業務への人的リソースのシフトが可能になる。また、物流コストの抑制やリードタイムの短縮に加え、配送効率の向上による省資源化といった環境面での効果も期待される。

 この取り組みは、百貨店側だけでなく、取引先となるメーカーや卸売業者、配送業者にも恩恵をもたらす。在庫や売上情報を共有化することで生産計画の精度が向上するほか、事前の連携情報に基づいた効率的な配送計画の立案が可能になるためだ。

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