宇都宮市、請求書処理時間を3分の1に短縮 年間約6万件の紙運用をデジタルへ

2025年11月6日22:14|ニュースCaseHUB.News編集部
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 栃木県宇都宮市は、年間約6万件に上る紙の請求書業務をデジタル化するため、インフォマートが提供する請求書クラウドサービス「BtoBプラットフォーム 請求書」を採用した。11月6日、インフォマートが発表した。市は行政DXを戦略的に進めており、今回のデジタル化によって、請求書の受領から決裁までの処理時間を大幅に短縮し、初年度で年間1875時間の業務削減を見込む。今後は電子請求書の定着化を図り、地域全体のDX推進につなげたい考えだ。

 宇都宮市は、「宇都宮市DX実現タスク」を策定し、行政DXを戦略的に推進している。その取り組みの一環として、2023年11月には一部の支出命令伝票を対象に電子決裁システムを導入した。しかし、年間約6万件もの請求書を紙で受領していたため、デジタル化のメリットを十分に得られず、業務効率化が大きな課題となっていた。

 従来の業務では、紙の請求書を受け取ってからデータ入力を行い、最終的な支払処理を完了するまでに1件あたり平均23分を要していた。加えて、請求書や関連書類のスキャン、原本の保管といった煩雑な手間も発生していた。また、指定様式を用意していたにもかかわらず、押印漏れや宛名誤りなどの不備による差し戻しが頻繁に発生し、確認作業が業務効率化の妨げとなっていた。こうした課題の解決を目指し、2025年3月に「BtoBプラットフォーム 請求書」を導入した。

 採用の決め手は、すでに利用している富士通Japanの財務会計システム「IPKNOWLEDGE 財務情報」を基盤とする電子決裁システムと組み合わせる形で、BtoBプラットフォーム 請求書が提案されたことだ。既存システムのGUI上でシームレスに機能連携できる点が評価された。また、栃木県庁がすでに先行導入しており、県と宇都宮市で取引事業者の多くが重複しているため、事業者側の混乱を避けられる点も選定理由の一つとなった。

 BtoBプラットフォーム 請求書の導入効果として、電子化された請求書については、受領から決裁までの処理時間が平均23分から8分に短縮された。この15分の短縮には、紙の仕分けやスキャン、保管などの手間と時間がゼロになったことに加え、審査・決裁時の確認時間の短縮が含まれている。市は、初年度に7500件の請求書を電子で受領することで、年間1875時間の削減を見込んでいる。さらに、年間約12万枚に及んでいた紙の請求書や関連書類を大幅に削減でき、逼迫していた保管スペースの確保にも貢献している。

 今後の展望として、市は電子請求書のさらなる定着化に向け、未登録の事業者に対し、原因を調査した上で個別に利用促進を図る必要があると考えている。また、請求書だけでなく、事業者側の見積書作成から請求書発行に至る事務処理を一貫して電子化し、ネットワーク上で完結できる仕組みの整備が急務だとし、今後は「BtoBプラットフォーム TRADE」の活用も検討している。BtoBプラットフォーム TRADEの活用が他の取引にも広がれば、事業者側の登録拡大や利用率向上に弾みがつき、庁内業務の効率化にも大きな波及効果がもたらされると見込んでいる。

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