NEC、データ仮想化で全社データ活用を加速 提供リードタイム5日、コスト4分の1に

2025年7月22日11:20|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本電気(NEC)は、全社的なデータ活用基盤「One NEC Dataプラットフォーム」を構築するにあたり、データ仮想化を実現する「Denodo Platform」を採用した。7月17日、Denodo Technologiesが発表した。従来、データの形式や構造の違いから多くの工数と時間を要していたデータ提供のリードタイムを5日間に、コストを約4分の1に削減した。今後はAIも活用し、全社的なデータ利活用のさらなる促進を目指す。

 NECではこれまで、データウェアハウス(DWH)とBIツールを活用してデータ提供を行ってきたが、複数の課題を抱えていた。必要なデータの提供に多くの工数と時間がかかるほか、各データが部門ごとのシステムに保管されているため横断的な分析が難しく、データの存在が分かっていても探し出すのに時間を要していた。プロジェクトの責任者は「財務、販売、サプライチェーンや人事など、異なる領域のデータはシステムごとにデータ形式や構造が異なっており、それらを連携するにはデータ移行や変換が必要だった。ここに時間とコストがかかっており、全社で横断的に活用するには、工夫が必要だと感じていた」と語る。こうした課題を解決するため、NECは仮想化による論理データ統合に着目した。

 同社は2018年頃、社外の研修会でDenodoの仮想化技術に触れたことをきっかけに、導入の検討を開始。複数のデータ仮想化ソリューションがある中で、Denodo PlatformがNECグループ全体のデータ活用を促進するキー・ソリューションになると判断した。リードタイム削減の可能性を視野に入れ、実際のデータを用いた概念実証(PoC)を実施した。その結果、システム性能やセキュリティ面をクリアし、リードタイムを大幅に短縮できること、柔軟かつ迅速なデータ共有が可能になることを確認し、2022年にOne NEC Dataプラットフォームの中核として採用を決めた。

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Denodo Platform 導入イメージ

 Denodo Platformの採用で、データ提供に要するリードタイムは5日間に、コストは約4分の1に削減された。運用面でもメンテナンスの手間が軽減されている。また、データ作成と同時にメタ情報も自動的に生成し、社員がどこにどのようなデータがあるのかを把握しやすくなった。

 現在、NECでは論理データ統合を国内全体で活用する体制を整えており、グローバル展開も視野に入れ取り組みを進めている。さらに、DenodoのAI SDKを活用した自然言語検索や、AIエージェントとの連携も推進していく計画だ。担当者は、「最終的にはユーザーが調べに行くのではなく、AIによってさりげなく提供される。AIによる支援が、今後の理想的な姿だと考えている」と話している。

ニュースリリース


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