サッポロホールディングスは1月27日、サッポログループ全体のデータ利活用を促進するため、「SAPPORO DATA FACTORY」と名付けた新たなデータ基盤システムを構築したと発表した。
これまでも既存のデータ基盤システムで酒類事業の物流や営業データを活用してきたが、データ民主化の加速と運用持続性の確保を目的に、今回のシステム刷新に至った。新たなシステムでは、Qlik Talend Cloud、Snowflake、Microsoft Fabric(Power BI)といったクラウドサービスを組み合わせて、データ連携の内製化、データ管理・分析の強化、大規模データの可視化を実現した。これにより、IT投資負担の増大や運用複雑化のリスクを低減し、データへのアクセス効率を向上させる。
新システムの導入背景には、同社が「中期経営計画(2023~26)」でDXを経営基盤の重点活動の一つと位置づけていることがある。この計画達成に向け、事業戦略、財務戦略、サステナビリティを支えるため、データ利活用の高度化が不可欠と判断した。
同社は、新システムで社内外の多種多様なデータを集約し、社員が容易かつ安全にアクセスできる仕組みを構築する。具体的には、ステークホルダー関連データ、酒類・食品・飲料事業の出荷データ、飲食店事業の飲食動態データに加え、気象情報などのオープンデータも活用する。これにより、社会環境の変化に柔軟に対応し、各社・各部門における意思決定の迅速化と高度化を図り、新たな価値創造やビジネス課題の解決に貢献することを目指している。
今回採用されたツールは、それぞれ異なる役割を担う。Qlik Talend Cloudは、基幹業務システムやクラウドサービスからのデータ連携を内製で容易にし、リアルタイムに近いデータ連携によるデータ品質の確保を実現する。Snowflakeは、データの加工・蓄積のためのプラットフォームとして、データ管理と分析を強化し、外部データへのアクセスも行う。Microsoft Fabric(Power BI)は、ローコード/ノーコードのBIツールとして、大規模データの可視化・分析を容易にし、意思決定の迅速化を図る。
これらのツール導入にあたり、人材育成プログラムを通じて育成した人材が中心となり、Power BIの開発を通じてデータ可視化・分析を推進する。サッポログループは、今回のデータ基盤システム構築を機に、データ分析の高度化と民主化を加速させ、事業戦略の実現と企業価値の最大化を目指す。