三宝化学研究所が設備保全の効率化と拠点間の連携強化を目的にクラウド設備管理システム「MENTENA」を採用した。3月14日、八千代エンジニヤリングが発表した。
1952年設立の三宝化学研究所は、大阪府堺市に本社を構える化学品合成メーカーだ。半導体材料、表示機能材料、医薬品原料などの高付加価値な化学品開発から工業化までを手掛け、堺市のほか静岡、和歌山、佐賀にも工場を展開している。同社は、南海トラフ地震への備えとして佐賀工場を新設するなど生産体制を強化する中で、保守管理体制の合理化と資産管理の整合性確保を目的とした設備管理DXを推進している。
三宝化学研究所では、設備保全業務が担当者の経験や力量に依存しており、特定の人しか対応できない状況やノウハウ継承の遅れが人材育成上の課題となっていた。全国に4つある工場間では設備管理の方法が異なり、設備台帳や点検内容の項目抜けや頻度のばらつきが生じ、同じ設備を使用しているにもかかわらず工場間でノウハウや履歴が共有できていなかった。修理履歴や点検内容の記録・管理がエクセルや紙ベースで行われていたため、データ分析や予防保全への活用が進まず、データ記録作業も煩雑であった。また、設備台帳と資産台帳が統一されていなかったことから、固定資産償却や照合に時間がかかり、統一的な設備や予備品在庫の管理体制が求められていた。
これらの課題解決のために、複数のシステムを比較検討した結果、使いやすさとスモールスタートが可能な点を評価しMENTENAの導入を決めた。トライアルを通じ直感的な操作が可能であると感じたことや、クラウド型であるため機能が日々進化・更新される点も魅力だった。導入にあたってはMENTENAのサポート担当者と連携し、オンボーディングを進めた結果、操作面での混乱はほとんどなく、工場間を超えた課題整理や意思統一を図る上で役立った。
MENTENA導入後、各工場の設備保全状況が可視化され、保全履歴や点検内容の情報共有が円滑になり、工場間のノウハウ共有の基盤が構築された。故障履歴や点検データの活用により、設備故障による生産停止や遅延リスクを未然に察知できる環境が整いつつあり、今後は生産効率の向上にも役立てるためにデータの蓄積を進める。
また、点検項目の統一や過去の保全データの参照が容易になったことで、属人化からの脱却も進んでいる。修理依頼もシステムを通じて写真や資料を添付できるようになったため、決済者による迅速な優先順位付けが可能となり、修理対応までのスピードが向上した。現場オペレーターもシステムを通じて修理リクエストを送信できるようになり、データ共有の輪が広がり、全社的な意識向上につながっている。
今後はMENTENAをさらに活用し、設備台帳や修理履歴を蓄積してデータの厚みを増し、それを基に点検頻度や項目を最適化していく方針である。導入から半年であるが、1~2年後にはデータを活用した予防保全の実現や設備停止期間のさらなる短縮を目指す。また、2024年9月から静岡工場の一部区画で計装関連のデジタルデータ収集を進めるなど全社的なDXを推進しており、MENTENAを活用しながら設備管理のレベル向上とさらなる効率化を図るとしている。
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