福岡県、官民データ連携基盤の構築で広域データ活用を推進

2025年4月2日22:39|ニュースCaseHUB.News編集部
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 福岡県は、県内市町村や民間企業とのデータ連携と利活用を目的に、官民データ連携基盤を構築し稼働させた。4月1日、同基盤を構築した日立製作所が発表した。この基盤を活用し、住民が公共施設情報を地図で確認できるサービスや、自治体職員がふるさと納税関連データを分析できるサービスを提供する。データの連携と利活用を通じて、県内広域でのデジタル化を支援し、県民生活の利便性向上を目指す。

 福岡県では少子高齢化や生産年齢人口の減少が進行しており、将来的な経済の停滞や労働力不足といった課題への対応が求められている。多様化する住民のニーズに応じたサービスを維持するためには、官民のデータを広く活用するのが有効だが、市町村が単独でデータ連携基盤を整備・運用するのは負担が大きい。そこで県が主導して県内市町村と共同で利用できる基盤を構築することになった。この取り組みは、国が示す「国・地方のデジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」にも沿うものだ。

 今回稼働した官民データ連携基盤は、国が定める「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ」に準拠し、国の推奨モジュールを利用している。機能拡張が容易なビルディングブロック方式や標準的なインターフェースを採用しており、将来的に県外のデータ連携基盤と接続することも考慮した、相互運用性の高い設計となっている。また、日立のデータ連携基盤サービスに加え、汎用性の高いBIツールやオープンデータ接続サービスなど、自治体で導入実績のある既存システムを組み合わせて構築されている。

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福岡県官民データ連携基盤のイメージ

 この基盤上で、まずは二つの新サービスを開始した。一つ目の「福岡県ダッシュボードサービス」は、主に県民の利用を想定したもので、避難所や保育所、公共施設といった複数分野の施設情報を、ウェブサイト上の地図形式で横断的に確認できる。災害時に避難先を検討したり、子育て世帯が転居の際に地域の情報を収集したりといった場面での活用が見込まれる。このサービスは、九州先端科学技術研究所が運営する「BODIK」と連携し、オープンデータを効率的に収集する仕組みを備えており、自治体職員の運用負担を軽減するとともに、住民は常に最新の情報を得られる。

 二つ目の「ふるさと納税可視化・分析サービス」は、県や市町村の職員向けに、ふるさと納税業務の最適化と効率化を支援する。各市町村が持つ寄付データや、複数のポータルサイトの実績データを基に、寄付額の推移、寄付者の属性、返礼品のカテゴリー別申込状況、プロモーションの効果などを可視化できる。さらに、AIを活用した解析機能により、返礼品の需要予測も可能だ。将来的には、ふるさと納税データに加えて観光や移住に関するデータとも連携させ、地域の魅力向上と関係人口の増加につなげたい考えだ。

ニュースリリース


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