富士薬品は、社内に散在するデータの属人化を解消し、全社的なデータ活用を推進する基盤として「Quollio Data Intelligence Cloud」を採用した。9月11日、同製品を提供するQuollio Technologiesが発表した。データの可視化により組織の枠を超えた知識共有を進める。将来的にはサプライチェーン全体の最適化へと活用範囲を広げる構想だ。
富士薬品は、配置薬事業からドラッグストア「セイムス」、医薬品の製造・研究開発まで幅広く事業を展開している。その中で、社内にデータ資産が散在し、データの所在や定義が十分に共有されないまま一部の担当者のみが把握している属人的な状態が、部門を横断したデータ活用の妨げになっていた。同社はこうした課題を解決するため、DX推進の一環として「統合データベース構想」を掲げ、その基盤にQuollio Data Intelligence Cloudを採用した。
同製品の採用にあたっては、データカタログに特化して専門的な機能を提供する国産ツールである点が決め手になった。そのほか、投資対効果と価格設定、サポート体制も評価。継続的な機能拡張への期待もあったという。
Quollio Data Intelligence Cloudの具体的な用途としては、配置薬事業とドラッグストア事業間での相互送客施策をはじめ、データドリブンなマーケティング施策の分析基盤として活用している。顧客マスターデータの項目定義やデータ構造を可視化することで、これまで一部の担当者しか持ち得なかった知識を組織全体で共有できるようになったという。
現在は、ドラッグストア事業部や配置事業部などの一部メンバーに統合データベースへのアクセスを開放し、現場の社員が他部門に依頼することなく自ら必要な情報を取得できる事業部主導のデータ分析環境を構築している。これにより、若手の担当者が分析手法を進化させるなど、データ活用が文化として組織に根付き始めているとしている。
今後は、現在進めているシステム部門によるタグ情報の整理と並行して、データ活用の範囲をサプライチェーン全体の最適化へと拡大していく構想だ。生産計画から店舗での販売・在庫状況、仕入れ・配送といった全工程をデータで可視化し、売り逃しや在庫過多などの機会損失をなくす最適なエコシステムの構築を目指す。
富士薬品DX戦略推進本部 デジタル戦略統括部 デジタル戦略部の村上太一氏は、「社内に散在していたデータ利用を活性化、最大化する施策の一つとしてデータカタログは必須であり、Quollioはコストパフォーマンスが最適だった。ブラックボックスになっていたデータの情報がエンジニア間で共有されるようになったのもQuollio導入の副次的な効果だ」とコメントしている。