日本航空(JAL)は、空港現場における教育訓練の改革を目的に、デジタル学習ソリューション「Advanced Teaming Experience Service powered by UMU」を活用した新たな学習プラットフォームを構築した。2025年4月から本格運用を開始しており、2026年1月9日、導入を支援した富士通が発表した。国内外約100拠点の従業員約1万5000人が利用しており、教育の受講管理や資格維持管理の工数を削減した。今後は学習以外の安全啓発などへも活用範囲を広げ、現場の生産性向上と人財育成の深化を目指す。
JALの空港現場では、スマートエアポート化によるサービスの高度化や人財の多様化が進み、環境が日々変化している。しかし、従来の教育は対面かつ画一的な設計が長らく続いており、個々の従業員の状況に応じた柔軟な学習機会の提供が課題となっていた。また、安全な運行を支えるための教育状況や資格の管理は徹底されていたものの、手作業による管理が多く、働き方改革や将来の労働人口減少を見据えた効率的な仕組みへの移行が求められていた。
こうした課題を解決するため、JALは富士通と共同で学習プラットフォームの構築に着手した。選定にあたっては、富士通が金融機関などの大規模な教育基盤導入で培った知見を評価。通常は約3カ月を要する導入プロセスを、課題分析と最適な運用設計により約1カ月という短期間で完了させた。
新プラットフォームは、空港業務に従事する従業員一人ひとりの習熟度や業務内容に合わせたコンテンツを提供できるのが特徴だ。各自に貸与されたタブレット端末を通じて、場所や時間を問わず受講できる。受講後も動画で知識や手順を繰り返し確認できるため、予習・復習が容易になり、自律的に学ぶ習慣の定着を後押ししている。
管理面での効果も大きい。従業員の受講記録や資格情報の管理をデジタル化し、自動で処理する仕組みを整えたことで、教育担当者の事務負担が軽減された。これにより、担当者は教育内容の再設計や人財育成計画の策定といった、より本質的な業務に注力できる環境が整った。本格運用開始から現在まで、国内外の主要拠点でスムーズに普及が進んでおり、現場の生産性向上に寄与している。
今後は、空港現場における対象教育の拡充に加え、安全啓発活動などにも同プラットフォームを活用する計画だ。JALグループは、こうした取り組みを通じて、高い基本品質と生産性を維持できる人財の育成を加速させている。
今回の事例について、富士通は自社の知見を生かしてJALの教育改革を継続的に支援する方針を示している。また、航空業界で得たノウハウを、製造業など高い安全基準や専門性が求められる他業界へも展開し、企業の人財育成を支援していく考えだ。