欧州委員会がOracle Cloud Infrastructure(OCI)を採用し、欧州連合(EU)全域の公共機関向けクラウドサービスとして利用可能にすることを決定した。2023年10月、オラクルが発表した。
この決定により、EU内の数十の機関、団体、エージェンシーが100以上のOCIサービスを利用できるようになる。欧州委員会は競争入札を経てOCIを選定し、6年間の契約を締結した。
OCIの採用により、EU機関は拡張性、セキュリティ、柔軟性、高いパフォーマンスなど、クラウド・コンピューティングの多くのメリットを活用できるようになる。特に、高度な暗号化技術や統合ID管理、厳重なアクセス制御など、包括的なセキュリティ機能を備えた厳格なセキュリティ体制を構築できる点が評価された。
EU機関はOCIを利用することで、リスクとコストを抑えながら、コンプライアンスやデータ・ガバナンス、規制要件を満たすことが可能になる。また、厳格なプライバシー保護要件を満たしつつ、データの安全な保存、処理、分析が行える。
この動きは、EU全体の行政サービスのデジタル化を加速させる狙いがある。すでに英国政府やオランダ政府、オーストラリア連邦政府、米国国防総省など、1000を超える公共機関がOCIを活用してデジタル・トランスフォーメーションを進めている。
欧州委員会は本決定により、EU全域の公共機関のクラウド活用を促進し、行政サービスの効率化と質の向上を図る。同時に、データセキュリティやプライバシー保護にも配慮しながら、デジタル時代に対応した行政基盤の構築を目指している。