Salesforceは、グローバルなハイブリッドクラウド・インフラストラクチャの標準化を目的に、Red Hat Enterprise Linuxを採用した。2023年9月20日、Red Hatが発表した。Salesforceは20万台以上のシステムをCentOS LinuxからRed Hat Enterprise Linux 9に移行する。
Salesforceは従来のデータセンター環境と、パブリッククラウド向けに設計されたプラットフォームアーキテクチャであるHyperforceで稼働する数十万ものシステムにまたがる巨大なITフットプリントを抱えている。また、同社の急成長とイノベーションの導入により、オペレーティング・システム環境がCentOS Linux 7を含む異機種混在のものとなり、インフラチームによる追加のメンテナンスと管理が必要となっていた。
Salesforceでは、ハイブリッドクラウド・インフラ全体をRed Hat Enterprise Linuxで標準化することを決めた。今回の移行により、SalesforceはITオペレーションの効率をさらに高め、開発者の生産性を向上させ、カスタマーエクスペリエンス全体のイノベーションを促進することを目指す。
具体的には、ARMを含むさまざまなハードウェアおよびソフトウェアアーキテクチャにわたって最適化されたパフォーマンスと効率性により、新たなインフラストラクチャへの投資をせずに、新しいテクノロジーをより容易に導入できるようになる。また、データセンターからパブリッククラウド、エッジに至るまで、ハイブリッドクラウド全体でより一貫したイノベーションを推進し、場所や規模に関係なく顧客独自のユースケースをサポートする能力を備えたプラットフォームによって、顧客に対応する。
Red Hat Enterprise LinuxのIT環境セキュリティに対する多層防御のアプローチにより、最新の暗号化およびセキュアコンピューティングイノベーションをサポートするなど、システムセキュリティ対策が向上する。Red Hatのサポートチームによるカスタマーサポートの強化により、Salesforceのエンジニアは、クラウド規模でのオペレーティング・システムを管理する際の細かな作業に煩わされることなく、顧客へ価値を提供することに専念できるようになる。
Salesforceは、「Red Hat Enterprise Linuxを使用することで、当社のグローバルなITオペレーションはこれまで以上に迅速に革新し、お客様が求める信頼性と拡張性の高いエクスペリエンスを提供できるようになります」とコメントしている。今回の発表により、SalesforceはRed HatおよびIBMとの関係を拡大し、進化するお客様のニーズに対応するクラウド・インフラストラクチャのモダナイズを進めていく。