日本ハムは、AIを活用した需要予測および在庫引当業務の高度化に向け、SAPのテクノロジープラットフォーム「SAP Business Technology Platform(SAP BTP)」を採用した。4月21日、SAPジャパンが発表した。SAPジャパンとアクセンチュアの支援のもと、加工事業における在庫の適正化や営業部門の業務効率化を推進している。
日本ハムは現在、グループ全体の基幹システムを「SAP S/4HANA」で再構築する「Connect Project」を進めている。同プロジェクトと並行し、既存事業の効率化を加速させるための「クイックウィン」の施策として、AIによる業務改革に着手した。従来、加工事業の需要予測は営業担当者が手作業で行っており、拠点ごとに判断基準が異なる属人化や、それに伴う欠品・過剰在庫の発生が課題となっていた。
システム基盤には、SAP S/4HANAとの親和性が高く、開発工数を抑制できるSAP BTPを選定した。基幹システムの「クリーンコア」を維持しながら、現場特有のニーズを柔軟に反映できる「Side-by-Side開発」を活用している。
導入の効果として、需要予測ではAIが算出した予測値が自動で販売計画に反映されるようになり、予測精度の向上と業務負荷の軽減を実現した。営業担当者は商談準備などの戦略的業務に注力できるようになった。在庫引当業務においても、複雑なルールをAIが自動判別することで判断基準が統一され、確認作業の工数が削減された。これらの取り組みにより、欠品率は前年比で改善し、在庫水準の最適化にも成功している。
現在は次の施策として、生成AIを活用した「フード発注プラットフォーム」の検証実験(PoC)に取り組んでいる。営業担当者が音声やチャットで入力した注文情報をAIが解析し、基幹システムへ自動連携する仕組みの構築を目指す。
日本ハムIT戦略部部長の中村吉宏氏は、今回の成功体験を大きな成果と捉え、今後はサプライチェーンの強靭化を図るとともに、あらゆるデータを活用してグループ全体の価値向上につなげていきたいとしている。