神戸製鋼所は、全社データ分析基盤「DataLab」にSnowflakeの「Snowflake AI データクラウド」を採用した。3月10日、システム導入を支援したコベルコシステムが発表した。多様なデータを一元管理できる共通基盤を整備することで、全社的なデータ分析の拡大とAI活用を推進し、中期経営計画で掲げるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の高度化を目指す。
神戸製鋼所を中核とするKOBELCOグループは、2024年度から2026年度までの中期経営計画において、事業戦略の実現に向けた7つの変革「KOBELCO-X」を掲げている。この計画では、稼ぐ力の強化やカーボンニュートラルへの挑戦をデジタル技術とデータによって加速させる「xD:バイ デジタル&データ」を重要な手段と位置づけている。
同社では2014年ごろからIoTやビッグデータの重要性を認識し、事業部門ごとにデータ活用を進めてきた。しかし、データの蓄積や分析を行う全社的なプラットフォームがなかったため、各部門で基盤がバラバラに構築され、組織を越えた知見の共有が困難だった。そこで、データとノウハウを統合的に管理し、組織的な活用を促進するために2019年に構築されたのがDataLabだ。
DataLabは初期段階において、ニーズの大きい「材料開発」と「設備診断」の2分野で活用を開始した。研究開発データや設備の時系列データなど、構造化されていない大量のデータを一元的に管理し、データサイエンティストによる解析やAIを用いたシミュレーション、設備の異常予知などに役立ててきた。
さらなる活用範囲の拡大に向け、同社は2023年にSnowflakeの採用を決定した。選定にあたっては、画像から時系列データまで幅広い形式を効率よく管理できる点や、高いスケーラビリティ、専門知識がなくても扱える操作性の高さを評価したという。パートナーには、製造現場の知見が深く、長年の支援実績があるコベルコシステムを選定。2024年からSnowflakeを組み込んだ共通データ基盤の構築に着手した。
導入プロジェクトでは、一部のデータを用いた試行錯誤を重ねるスモールスタートでノウハウを蓄積した。現場の知見を持つコベルコシステムと連携したことで、既存システムとの整合性確保などの課題を解決し、予定通りサービスインを実現した。
Snowflakeの導入により、各所に分散していた構造化・非構造化データを集約し、ユーザーがデータ分析に踏み出しやすい環境が整った。プラットフォーム内の生成AI機能や大規模言語モデル(LLM)との連携により、セキュリティを確保したままチャットボットの構築や機械学習の実装も可能になっている。先行利用している部門では、開発期間の短縮や業務効率の向上が実現している。
今後はSnowflakeを他の事業部やグループ企業へも展開する計画だ。基幹システムやクラウド上の業務システム、工場の操業データなどを統合的に管理し、横断的なAI活用やデータ分析に取り組む。
神戸製鋼所IT企画部インフラ・セキュリティグループ長兼デジタルイノベーション技術センターAI・データサイエンス推進室の南和男氏は、「全ての変革の推進において、デジタル技術とデータを抜きに考えることはできない。現在は研究や工場系のデータ蓄積が中心だが、今後は業務システムなどのデータも統合管理し、共通の横串でのAI活用にチャレンジしたい」としている。