東京ガス、会計基盤をクラウド化 「Spendia」で経理申請業務のDXを推進

2026年2月17日23:01|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 東京ガスは、経費精算を含む経理申請業務のプラットフォームとして、TISが提供するクラウド型経費精算システム「Spendia」を採用した。2月17日、TISが発表した。会計システムをクラウドベースの「SAP S/4HANA Cloud」へ移行するのに合わせ、これまでスクラッチ開発で対応してきた経理申請業務をSaaSへ切り出すことで、基盤のスリム化と経理DXの加速を目指す。

 首都圏のエネルギーインフラを支える東京ガスは、2002年から20年以上にわたって利用してきたオンプレミスの経理システムの保守切れに伴い、会計基盤の全面刷新を計画した。従来のシステムはスマートフォン申請に対応しておらず、承認ワークフローも1階層に限られるなど、利便性と柔軟性の向上が課題となっていた。

 同社は、新技術を取り入れやすくするために「SaaSファースト」の追求を基本方針に掲げた。しかし、全社員の約3割が携わる「収入予定報告」や「振替報告」といった、エネルギー事業特有の複雑な経理伝票の起票業務を一つのSaaSで網羅できることが必須条件となり、製品選定は難航した。

 選定の結果、採用されたのがSpendiaだ。選定の決め手は、東京ガス独自の経理申請業務に対応するため、要望をSpendiaの標準機能として開発・実装するTISの柔軟な提案だった。また、TISが東京ガスグループのシステム開発実績を持つコアパートナーであり、業務内容を深く理解している点も信頼につながった。

 導入プロジェクトは、他ベンダーが担当する会計システムの移行と並行して約2年をかけ実施された。旧システムが20年間のアドオン開発によりブラックボックス化していたため、東京ガスiネットも支援に加わり、業務を標準機能に合わせる「Fit to Standard」を基本方針として機能を整理した。Spendiaは2カ月に1度の頻度でバージョンアップされるが、TISは他システムとの連携に影響が出ないよう、各ベンダーと密に連携しプロジェクトを完遂させた。

20260217_tokyogas.png
システム概要図

 2025年4月に完了した会計基盤のクラウド移行により、大きな導入効果が得られている。まず、これまでアドオン開発が必要だった機能が標準セットアップで実現可能になり、システム構成がスリム化された。また、スマートフォンでの申請・承認が可能になったことで、移動中の隙間時間を活用した業務効率化が実現した。領収書の画像をAI-OCRで読み取り申請する仕組みも導入され、ペーパーレス化が進んでいる。

 運用の定着もスムーズに進んでおり、運用開始から半年でヘルプデスクへの問い合わせ件数は減少した。利用者からは「今どきのデザインで使いやすい」と評価されている。

 東京ガス経理部経理DX推進グループ主席の茂木岳史氏は、「Spendiaの真の価値は、使い続ける中で機能が進化していく点にある。今後、自社の要望だけでなく、他社のリクエストに応える新機能が標準搭載されていくことは大きな利点だ。今後も共に製品を育てていくパートナーとして伴走してほしい」と話している。

 今後は、東京ガスグループ十数社への横展開も検討中だ。グループ全体の経理申請業務を統一することで、会計業務を集約するシェアードサービス化の実現も視野に入れている。

ニュースリリース