滝沢ハムは、経理業務のデジタル化を目的に、TOKIUMが提供する「TOKIUMインボイス」と「TOKIUM経費精算」を採用した。12月23日、TOKIUMが発表した。紙を中心としたアナログな運用から脱却し、全社で年間5000時間程度の工数削減を実現。業務の属人化解消や月次決算の早期化など、経営基盤の強化につなげている。
滝沢ハムは1918年創業の老舗食肉加工メーカーで、栃木県を拠点に食肉や食肉加工品の製造販売を展開している。同社では、従来、紙の書類を主体とした経理業務が大きな負担となっていた。特に請求書処理においては、月間約800枚に及ぶ書類を、月初のわずか3から4日間で担当者1名が集中して処理する体制であり、業務量が限界に達していた。また、複雑な部門按分や紙の紛失、差し戻しといったトラブルも頻発しており、ガバナンス面でも課題を抱えていた。
こうした背景から、同社は経理業務の抜本的な刷新を検討。選定にあたっては、既存の会計システム「GLOVIA」との連携実績が豊富であることを高く評価した。他社のソリューションでは困難とされていたデータ連携がスムーズに行える点が、TOKIUM採用の決め手になった。
導入後の大きな効果として、請求書処理業務の効率化と属人化の解消が挙げられる。各事業部で直接入力が可能になったことで、本部の特定担当者への業務集中が解消された。按分の確認といったコミュニケーションコストも削減され、結果として月次決算は半日以上早期化された。
経費精算についても、大きな改善が見られた。以前は各事業所での現金立替を行っていたが、システム導入に伴い小口現金を廃止。これにより、現金の取り扱いリスクを解消するとともに、承認ルールの厳格化によるガバナンス強化を実現した。また、スマートフォンなどを活用して外出先や移動中にも申請・承認が行えるようになったことで、精算のためだけに帰社する手間がなくなった。この移動コストの削減だけで、全社で年間約2000時間の工数削減につながっている。
今回のプロジェクトについて、滝沢ハム経理部部長代理の漆原晶子氏は、これまでの経理業務は大量の紙書類と複雑な処理を力技でこなす状況が続いており、担当者の精神的負担も限界に近かったと話す。導入により単なるペーパーレス化だけでなく、長年の課題であった属人化を解消できたことは大きな成果だという。作業時間から解放されたことで、経理部員が専門知識を活かしてより付加価値の高い業務に従事できる基盤が整ったとしている。
今後は、AIエージェントによる承認機能なども活用しながら、さらなる業務品質の向上を目指す方針だ。