出光興産、プラント保守をアジャイル開発でデジタル化 3年間で26万時間超の効率化に成功

2026年1月23日15:39|ニュースCaseHUB.News編集部
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 出光興産は、プラント定期保守業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目的に、システムエグゼの支援を受けて開発した新システムを運用している。1月22日、システムエグゼが発表した。現在、全国4事業所の7000人以上が利用しており、3年間で26万3000時間の業務削減につながった。今後もアジャイル開発とオフショア開発を組み合わせ、スピーディーな機能拡張を継続する考えだ。

 出光興産の千葉事業所は、115万坪の広大な敷地に製油所と石油化学工場を擁する同社グループの基幹拠点である。24時間365日稼働する膨大な装置の安全を支える定期保守業務は極めて重要だが、従来は検査報告や補修依頼を書類で行っていた。大規模な事業所ゆえに補修件数は数百件にのぼり、現場の負担増だけでなく、情報伝達の遅延による補修漏れのリスクも大きな課題となっていた。こうした背景から、2020年に全社的なDX推進の一環として「SDM(Smart Digital Maintenance)くん」プロジェクトを開始した。

 システムの構築にはアジャイル開発を採用した。機能ごとに任命されたプロダクトオーナー(PO)が現場ユーザーと開発側の窓口となり、2週間ごとのリリースを繰り返すことで現場の要望を迅速に形にする体制を整えた。また、SDMくんにユーザーが直接フィードバックを送れる機能を実装し、日に3件から4件届く意見を即座に反映している。出光興産千葉事業所事業構造改革・DX推進室の新井良太氏は、ユーザーからのフィードバックにスピード感をもって応えられるのはアジャイル開発だからこそであり、打てば響く対応によってシステムへの信頼感が増し、本当に使われるものになっていると評価している。

 開発体制の強化と安定化のため、システムエグゼベトナムによるオフショア開発「BotDev」も活用している。当初はコミュニケーション面に不安もあったが、ブリッジSEが依頼内容のリスクまで含めてフィードバックする体制や、想定を上回る開発スピードと品質の高さを評価。現在は3機能に活用を拡大している。

 出光興産生産技術センターシステム高度化技術室先進システム開発グループの山口幸雄氏は、1週間と想定していた作業が翌日にはテスト依頼として届くなど、オフショアのスピード感に驚いたとしている。さらに、1個の不具合対応から関連する複数の不具合を見つけて修正する品質の作り込みも評価した。

 導入の効果は、業務効率化にとどまらない。他事業所への展開を通じて、事業所ごとに異なっていた保守業務フローの標準化を実現した。トラブル発生時に過去の事例を全事業所のデータから検索できるようになった点も、現場ユーザーからの評価が高い。出光興産千葉事業所事業構造改革・DX推進室室長の佐久間修也氏は、SDMくんの導入で業務効率化と精度の向上が達成されたとし、今後は蓄積したデータを活用して自分たちの弱点に気づけるようにしていきたいと語っている。

 また、生成AIを利用した品質向上や業務のさらなる自動化も検討していく。システムエグゼはグループ一丸となり、引き続き同社のDX推進を伴走型でサポートしていく方針だ。

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