ホクレン、kintoneで農薬散布管理をデジタル化 事業規模3倍に拡大

2026年3月10日18:41|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ホクレン農業協同組合連合会(ホクレン)は、ドローンによる農薬の請負散布業務の効率化を目的に「kintone」を採用した。3月10日、サイボウズが発表した。外部組織とセキュアに情報共有できる環境を構築したことで、煩雑な事務作業を大幅に削減。運用限界だった事業規模を従来の3倍に拡大させた。

 ホクレンは、JAグループ北海道において農畜産物の販売や営農支援を担う組織だ。長期ビジョン「Vision2030」の達成に向け、現場主導の業務改革を推進している。2021年からドローンによる農薬の請負散布業務を開始したが、ホクレン、JA、散布業者の三者間で行われるアナログな管理体制が事業拡大のボトルネックとなっていた。

 従来、依頼内容はExcelで共有されていたが、修正のたびにファイルが複製され最新版が不明になる混乱や、電話による連絡リレーが頻発していた。また、古いフォーマットの混在による集計不備や、請求書の突合作業に最大5〜6時間を要するなど、膨大な事務負担が現場を疲弊させていた。当初は散布業者のキャパシティが課題と考えていたが、実際には自組織の事務処理が限界に達しており、目標とする1万ヘクタールの達成は困難な状況だった。

 こうした課題を解決するため、農薬課の若手職員が中心となりシステムの検討を開始した。IT知識がない現場職員でも自らアプリを構築できるノーコード開発が可能であることや、社外のメンバーを招待して共同編集ができる「ゲストスペース」機能を備えている点を評価し、kintoneの導入を決めた。

 アプリ開発にあたっては、ICT推進部デジタル推進課による伴走支援を受けた。開発初心者の職員が週1回の打ち合わせを4カ月継続し、現場の知見を反映した「農薬請負散布アプリ」を完成させた。このアプリでは、圃場マップの登録や散布面積の自動計算に加え、外部組織ごとに閲覧・編集制限をかける高度な運用を実現している。

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農薬請負散布アプリでは散布状況の把握、さまざまな角度からの分析が可能

 導入の効果は顕著だ。ゲストスペースの活用により、1案件の情報を一つのレコードに集約。完全にExcelから脱却し、発注から報告までをkintone上で完結できる体制を整えた。これにより、5〜6時間かかっていた請求内容の突合作業は15分に短縮された。事務効率の向上により、年間1000ヘクタールが限界だった管理規模は、ミスなく3000ヘクタールを超える規模まで拡大した。

 ホクレンでは他の業務でもkintoneの活用を広げている。施設課では、約700社の請負事業者登録業務をデジタル化した。webフォーム作成プラグインを活用し、申請受付からAIによる書類の自動照合、評価算出、受理報告メールの送信までを一気通貫で自動化。これにより、職員2名が2カ月間封殺されていた234時間の業務削減に成功し、転記ミスも排除した。

 現在、ホクレンでは全7事業本部のうち6本部でkintoneの利用が拡大しており、約600名の職員が日常的に活用している。デジタル推進課では「デジタルシフト相談会」を通じて現場の課題を汲み取り、外部連携が必要な業務にはkintoneを提案するなど、適材適所のツール活用を推進している。

 今後はグループ会社27社への業務改善サポートも開始し、会内で培ったノウハウを広げていく方針だ。管理本部ICT推進部デジタル推進課課長補佐の武田展也氏は、「外部と一緒に仕事をしなければ成り立たない組織だからこそ、情報共有の強力なツールとしてkintoneを活用し、ステークホルダーとの絆を強化していきたい」としている。

ニュースリリース