東北電力フロンティアは、電気契約の利便性向上を目的に「電気契約かんたん申込みフォーム」を構築した。3月10日、開発を支援したSHIFTが発表した。独自の開発フレームワークを用いたAI駆動開発により、高品質を維持しながら開発生産性を40%向上させた。新フォームの運用開始後、コンバージョン率(成約率)が従来の2倍を超えるなどの成果を得ている。
東北電力フロンティアは、Web経由での電気契約申し込みを通じて顧客の利便性向上に取り組んできた。しかし、多様化する顧客ニーズや利用シーンに対応するため、さらなる手続きの簡素化と迅速化が求められていた。特に引っ越しシーズンなどの繁忙期において、顧客がよりスムーズに手続きを完了できる導線の確保が急務となっていた。
こうした背景から、従来の申し込みフローを見直し、契約時の会員登録を必須としない新たなフォームの構築プロジェクトが始動した。パートナーとして選定されたのは、ソフトウェアテストや品質保証に強みを持つSHIFTだった。同社が提唱する高品質かつ迅速なAI駆動開発の手法が、プロジェクトの要件に合致した。
プロジェクトは2025年9月に開始された。構築にあたっては、SHIFT独自の開発フレームワーク「SHIFT DQS(Development Quality Standard)」が全面的に採用された。これは、再利用可能な設計書やソースコードの雛形(ボイラープレート)、AIを活用した開発標準などで構成されるフレームワークだ。
今回の開発では、SHIFT DQSに基づき設計から開発までのプロセスをAIで高速化した。これにより、要件定義から2026年2月の本番運用開始まで、5カ月という短期間でシステムを構築した。従来の手法と比較して、開発生産性は40%改善された。また、SHIFT DQSで定義されたデザインシステムを活用し、直感的で分かりやすいユーザーインターフェース(UI)を実装した。
新フォームの導入効果は、運用の初期段階から現れている。申し込み手続きが簡略化されたことで、顧客のコンバージョン率は従来の2倍以上の水準に達した。さらに、入力補助機能などの使いやすさが向上した結果、新規申し込みに関する顧客対応時間も半減しており、オペレーションコストの削減と社内の生産性向上にも寄与している。
東北電力フロンティアでマーケティング本部データアナリティクス部長を務める松ヶ崎幹根氏と、同本部事業企画部マネージャーの村上静氏は、今回のプロジェクトについて次のように語っている。
「AI駆動開発の導入により、開発プロセス全体の効率化が図られ、春の引っ越しシーズンに向けてスピーディーにリリースできた。外部の決済サービスとも連携し個人情報を扱うシステムであるため、セキュリティと品質を重視していたが、要件を十分に満たす高品質なシステムが構築されている。フルスクラッチでの開発により、今後の機能追加や改善に柔軟に対応できる点も心強い」
今後はフォームの利用状況を分析し、さらなる利便性と生産性の向上に向け改善を重ねていく。