エイチ・アイ・エス(HIS)は、問い合わせ自動応対システム「楽楽自動応対」を採用した。3月30日、同システムを提供するラクスが発表した。1日に数千件にのぼる膨大なメール対応業務を仕組み化することで、対応漏れの抑制や応対品質の標準化、マネジメントの可視化につなげている。
HISは世界58カ国に140拠点のネットワークを持つ総合旅行会社だ。法人営業本部のビジネス・トラベル・マネジメント(BTM)部門は、企業の出張手配や管理を担っており、社内でも特にメールの受信量が多い部門として知られている。
BTM業務は急な出張依頼や旅程変更、キャンセル対応などが日常的に発生し、即日での手配完了が求められるスピード感のある業務だ。従来は共有アドレスに届く1日数千件のメールに対し、手作業で担当者の割り振りや別ファイルへの進捗転記を行っていた。しかし、こうした人力による管理は更新漏れや対応漏れのリスクを孕んでおり、個人の習熟度や目視確認に依存しない仕組みへの移行が急務となっていた。
また、管理者がチーム全体の案件状況をリアルタイムで把握しづらい点も課題だった。繁忙期には業務負荷が一部のスタッフに集中しやすく、適切な業務分担を行うための可視化ツールを必要としていた。
システムの選定にあたり、複数のサービスを比較検討した。最終的に、現場スタッフが直感的に操作できるユーザーインターフェース(UI)を備え、全員が「一番使いやすい」と評価したことが決め手となった。また、メール処理市場で長年シェアNo.1を維持している実績と信頼性も、採用を後押しした。
導入後は、受信トレイをそのままToDoリストとして活用する運用に切り替えた。楽楽自動応対は返信後にステータスが自動で「完了」に変わる構造のため、対応漏れをシステム的に防げるようになった。さらにテンプレート機能を活用することで、入社間もない社員でも中堅社員と同等の品質で回答できる体制を整え、応対品質の平準化を実現した。
マネジメント面では、ラベル機能によりスタッフごとの対応案件量が可視化された。これにより適切なリソース配分が可能になり、部署全体の残業削減や働き方改革にも寄与している。また、コメント機能を通じて在宅勤務時やシフト交代時の引き継ぎが円滑になり、情報の属人化も解消された。
東京の拠点での成果を受け、現在は大阪や名古屋のBTM部門にも導入が拡大している。HIS法人営業本部の高須智章氏は、「対応漏れへの不安がなくなり業務に集中できるようになったことで、チームの雰囲気も大きく変わった。社員のモチベーションや職場の環境を良くしたいと考えている企業にも推奨できる」と述べている。
同本部の神宮司卓氏は、「属人化を解消したい組織には非常に相性が良いツールだ。処理すべきメール量が多いほど、その効果は大きくなると感じる。より少ない件数の現場であれば、なおさらスムーズな運用と効率化を実感できるはずだ」と話している。今後は、先行して進めた拠点での改善事例を他地区へも横展開し、グループ全体での業務最適化を推進していく。