イオンフィナンシャルサービス、共通データ基盤で1to1マーケティングを精緻化

2026年3月6日17:32|ニュースCaseHUB.News編集部
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 イオンフィナンシャルサービスは、グループ横断のデータ分析基盤「DMS(データマネジメントシステム)」を構築し、中核となるデータベースに「BigQuery」を採用した。3月3日、Google Cloud Japanが発表した。膨大な購買データや会員データを高速に処理できる環境を整え、顧客一人ひとりの嗜好に合わせた緻密な1 to 1マーケティングの強化を図る。

 イオングループは国内の総合スーパーや小売店だけでなく、アジアを中心に14か国で事業を展開している。イオンフィナンシャルサービスはその金融事業を担い、クレジットカードの「イオンカード」やスマホ決済「AEON Pay」、電子マネー「WAON」など多角的なサービスを提供してきた。グループ内には小売事業の購買履歴と金融事業の顧客情報が共存しており、これらを紐付けることで最適なアプローチが可能になる優位性がある。

 しかし、従来はグループ各社がオンプレミス環境で個別にデータ基盤を運用していたため、全社をまたぐ分析基盤が存在しなかった。他社のデータを利用する際に取り寄せが2日遅れることもあり、リアルタイムな顧客行動に合わせた提案が困難だった。また、データの精度不足からセグメント分けが大まかになり、精緻なマーケティング施策を展開できない課題を抱えていた。

 これらの課題を解決するため、同社は2022年に全社横断型のDMS構築プロジェクトを開始した。プラットフォームの選定にあたっては数カ月間の技術検証を実施し、月数十億件にのぼる商品単位の購買データや数千万人の会員データをストレスなく処理できるパフォーマンスを評価して、BigQueryの採用を決定した。グループ内でGoogle Cloudの利用実績が多く、親和性が高い点も決め手となった。

 開発プロセスでは、従来の手法を一新した。ウォーターフォール型からアジャイル型へ転換し、機能を段階的にリリースする体制を構築。外部パートナー企業の支援を受けつつ、Google Cloudの教育カリキュラムを活用して開発の内製化にも挑戦した。現場の利用者もプロジェクトに巻き込み、必要なデータの形式について密なコミュニケーションを図ることで、実用性の高いシステムを目指した。

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グループ横断データ分析基盤のシステム概要

 2023年12月に初期機能を提供し、2025年5月には業務に必要な主要機能をそろえた。導入の効果はすでに現れており、これまで2日を要していたデータ収集と分析が数分程度で完了するようになった。また、運用コストも従来システムと比較して大幅に抑制できている。現場では利用者が自らダッシュボードを作成するなど、データ活用の自律化も進んでいる。

 今後は、蓄積されたビッグデータをAIで分析し、顧客の嗜好把握をさらに深化させる。2026年度には、リアルタイムでのキャンペーン発信を本格化させる計画だ。さらに、決済サービスのグローバル展開に合わせ、構築した仕組みを海外拠点でも活用できるよう、基盤の拡張を進めていく方針だ。

 イオンフィナンシャルサービス常務執行役員の光石博文氏は、「買い物をする店舗と決済のスキームが同一グループ内にあることは圧倒的なアドバンテージだ。今回のプロジェクトを通じて、現場から経営陣までが同じ情報を共有する新しい試みが高く評価されている。こうした挑戦を全従業員ができるようにしていきたい」としている。

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