大樹生命、AIで顧客の声を自動分析 年間1600時間の業務負荷軽減へ

2026年3月6日18:40|ニュースCaseHUB.News編集部
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 大樹生命保険(以下、大樹生命)は、データドリブン経営の実現に向けた顧客の声(VoC)の分析基盤として、テックタッチが提供する「AI Central Voice」を採用した。3月5日、テックタッチが発表した。年間約110万件にのぼる顧客からの指摘や照会データの分類・分析業務を自動化することで、年間約1600時間の業務効率化を目指す。あわせて、顧客の潜在的なニーズを的確に把握し、迅速なサービス改善につなげる。

 大樹生命は1927年に三井生命保険として創業し、現在は日本生命グループの一員として全国で営業を展開している。同社では顧客サービス品質の向上を重要な経営課題と位置づけ、日々寄せられる膨大な顧客の声をサービス改善に活用してきた。しかし、年間約110万件に達するデータの分析には多大な負荷がかかっていた。

 特に大きな課題となっていたのが、独自基準に基づく細分化された分類作業だ。従来は担当者が一件ずつ目視で分類を行ってきたが、人手による対応には限界が生じていた。また、既存の分類軸に当てはまらない声が「その他」の項目に集約されてしまうことで、改善につながる要因を十分に捉えきれない構造的な課題も抱えていた。さらに、マイページの利用拡大に伴い顧客の照会内容が多様化しており、属人性を排した効率的な分析基盤の構築が急務となっていた。

 AI Central Voiceの採用にあたっては、高精度なAIによる分類と多角的な示唆抽出が可能である点が評価された。大樹生命が長年培ってきた独自の分類ロジックをAIが学習し、複数の軸で自動分類を行う。膨大なデータから自動抽出されるサマリやインサイトの品質が高く、新たな発見や改善策の考案を加速できると判断した。

 金融業界特有の要件への対応力も決め手となった。データの海外移転を行わず、すべてのデータを国内環境で管理・処理できる設計が大樹生命の厳格なセキュリティ基準を満たした。また、ツール提供にとどまらず、分析結果から真の課題を導き出すためのコンサルティングを含めた伴走支援体制も信頼につながった。

 AI Central Voiceの活用により、大樹生命では苦情や照会データの体系的な分析が進む見込みだ。苦情の真因分析を通じて、実効性のある所管部署での対応や営業職員教育など、実態に即した施策の検討が可能になる。また、マイページなどのデジタル接点と対面接点の声を横断的に把握することで、組織全体での改善活動を期待している。

 大樹生命の山本氏は、日々寄せられる多様な声をより速く、より深く活かすための基盤を整えると話す。AI Central Voiceにより、苦情や照会のテキストから改善の糸口を安定的に抽出し、会社制度の改善や手続き導線の見直しなど具体策の実行速度を上げていく。2026年度はスモールスタートで効果を積み上げ、対象データを段階的に拡大してサービス品質の向上につなげていく意向だ。

 今後の取り組みとして、大樹生命では人手に依存していた集計・分析作業を自動化し、創出した時間をデータに基づく改善検討や部門間連携に充てる体制を構築していく。2027年3月に迎える創業100周年に向け、VoCを継続的な業務改善に活かす基盤整備を加速させる。

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