不動産の総合管理やコンサルティングを手がけるLENZ DXは、入居者専用アプリケーション「LENZ MEMBER」の問い合わせ対応業務に、生成AIエージェント開発プラットフォーム「Dify」を活用したAIチャットボットを採用した。2月26日にリニューアル公開した。Difyの構築支援サービス「AIエージェントDRIVE」を提供するバイタリフィが、3月6日に発表した。24時間体制の即時回答を実現することで、入居者の利便性向上と管理業務の効率化を同時に図る。
トーシンパートナーズホールディングスのグループ会社であるLENZ DXでは、入居者からの問い合わせが24時間発生する一方で、担当者による対応が営業時間に限定される課題を抱えていた。夜間や休日の問い合わせは回答待ちの状態となり、入居者の「すぐに知りたい」というニーズに十分応えきれていなかった。また、従来のアプリ内チャットはあらかじめ設定されたシナリオに従って回答する形式だったため、対応できるパターンが限定的であり、シナリオから外れた質問はすべて有人対応となることで担当者の業務負荷が高まっていた。
こうした課題を解決するため、同社は生成AIを活用した新たなチャットシステムの構築を決定した。選定にあたっては、長年蓄積してきた過去の問い合わせデータやヒアリング履歴をナレッジとして活用でき、大規模言語モデル(LLM)と連携して高度な自律対応が可能な仕組みを目指した。
新たに構築したシステムでは、実業務に即した複数の技術的工夫を施している。設備の利用方法やゴミ出しのルールといった定型的な質問に対しては、AIがナレッジを基に即座に回答する。一方で、設備の故障など詳細な状況確認が必要なケースでは、AIが順序立てて一次ヒアリングを行った上で、シームレスに有人チャットへ切り替えるハイブリッド型のフローを実装した。
また、API連携を通じてアプリケーション側のデータと統合することで、物件ごとに異なる条件をAIが判断できる機能も備えた。駐輪場の有無やペット飼育の可否など、ユーザーが居住する物件に合わせた適切な回答を出し分けることが可能だ。AI特有の不正確な回答(ハルシネーション)を抑制するため、ナレッジパイプラインによるデータ整形や、LLMによるヒアリング項目の最適化といった対策も講じている。ナレッジの更新作業も定型化し、専門知識のメンテナンスを迅速に行える運用環境を整えた。
導入の効果として、営業時間外でも入居者がアプリ内で即座に回答を得られる環境が整った。既存のチャット機能のデザインを維持したまま導入したため、ユーザーは違和感なく利用できている。問い合わせのやり取りを簡潔に済ませたい入居者の利便性を高めつつ、管理側においては一次対応に要していたコストの大幅な削減につながっている。
LENZ DXは、今後もナレッジの拡充や運用の最適化を継続し、さらなる応対品質の向上と業務効率の追求を進める。