ジャパンリゾートホテルオペレーションズは、運営する旅館・ホテルの売店において、ELESTYLEのマルチモバイル決済SaaS「OneQR」を採用した。12月1日、ELESTYLEが発表した。旅館独自の空間に馴染むデザイン性を評価して導入を決定し、売店の24時間無人運営体制を構築した。高齢の宿泊客でも迷わずに操作できる利便性を確保しつつ、スタッフの業務負荷軽減と効率化につなげている。
ジャパンリゾートホテルオペレーションズは、ソラーレホテルズアンドリゾーツのグループ会社として、全国の旅館やホテルの運営再生を手掛けている。老朽化や後継者不足などで事業継続が困難になった施設を再生し、地域観光の活性化に貢献することをミッションとしている。今回、同社が運営する『山中温泉 河鹿荘』(石川県)および『ザ・パルス霧島』(鹿児島県)において、新たに売店を設置するにあたり、運営システムの導入を検討していた。
売店の新設にあたっては、デザイン面での課題が大きかった。一般的な無人レジシステムは、コンビニエンスストアのような雰囲気になりがちで、旅館やホテルの内装や独自の世界観を損なう懸念があった。また、初めて本格的な売店運営に取り組むにあたり、売上や在庫を手作業で管理することへの不安もあり、効率的なデータ運用が可能なシステムを模索していた。
こうした課題に対し、同社はOneQRの採用を決めた。決済端末のデザインが洗練されており、旅館の空間に自然と溶け込み、ブランドイメージを損なわない点を高く評価した。また、売上データなどをCSV形式で出力できるため、棚卸しや在庫管理などのバックオフィス業務にも柔軟に対応できる点も選定の決め手となった。
導入後は、日中の一部時間帯を除き、基本的に無人での24時間営業を実現している。懸念されていた操作性についても、シンプルで直感的なユーザーインターフェース(UI)により、高齢の宿泊客でも問題なく利用できている。同社旅館運営部部長の友岡大輔氏は、「使い方が分からないといった声は運用開始からほとんどなく、クレームもほぼない。スタッフの稼働や採用のストレスを軽減でき、非常に安定して運営できている」としている。
地方の宿泊施設ならではの事情にもOneQRは適している。都市部のホテルではコンビニ事業者をテナントとして誘致するケースが多いが、地方では商圏の問題からコンビニの誘致が難しい場合がある。友岡氏は「そういった地域では、私たちのように自前で運営する形が有効だ。OneQRはそうした環境にも柔軟にフィットする」と述べている。
今後は、OneQRを単なる決済・販売システムとしてだけでなく、マーケティングツールとしても活用していく考えだ。たとえば、口コミを投稿した顧客に対して売店での割引を提供するなど、ホテルのサービスと連動した施策を検討している。顧客満足度の向上や再訪を促す仕組みづくりを進め、システムの活用範囲を広げていく方針だ。