ペット&ファミリー損害保険は、損害保険業務を支える基幹システム「PaFit」を刷新した。システム開発ベンダーとしてはJBCCを選定した。5月15日、JBCCが発表した。独自の開発手法を用いて段階的に構築を進め、本格稼働を開始した。乱立していた補助ツールの統合や業務フローの見直しにより、年間2800時間の業務工数を削減した。今後はデータやAIを活用した取り組みを強め、価値創造を軸としたIT戦略を展開する。
ペット&ファミリー損害保険は、T&D保険グループに所属するペット保険の専門会社である。2019年に少額短期保険会社から損害保険会社へ移行したことに伴い、金融庁が定める損保会計基準への適合や、高度なセキュリティ・コンプライアンス要件への対応が急務となっていた。しかし、従来の基幹システムはこれらの基準に対応できず、現場ではAccessやExcelの補助ツールを多用して業務を補完していたため、特定の担当者に依存する属人的な運用が常態化し、事業拡大への対応も限界を迎えていた。
こうした課題を解決するため、同社はシステム基盤の全面刷新を決断 。選定にあたっては、自社のシステム部門が5~6名規模と少人数であったことから、詳細な要件定義を一から行う手法を避け、柔軟性の高い開発やインフラ、セキュリティまで一括して任せられるワンストップ体制を重視した。その結果、実際に動く画面を確認しながら認識のずれを抑えて開発を進められるJBCCのアジャイル開発手法「JBアジャイル」の採用を決めた。
開発プロジェクトは2021年5月に始動し、顧客管理や契約管理、保険料請求、損害調査など15のサブシステム、合計336機能に及ぶ大規模な構築作業をローコード開発ツール「GeneXus」を活用して進めた 。途中で要件整理に時間を要したことからリリースを延期する局面もあったが、両社が密接に対話して信頼関係を深めることでワンチームの体制を確立し、2023年8月に本番稼働へとこぎ着けた。
新システムの導入により、社内に分散していた補助ツールが統合され、業務の属人化の抑制が図られた。あわせて、確認業務の見直しやRPAによる定型業務の自動化を全社的に進めた結果、2026年時点で年間約2800時間の業務工数削減につながったという。ペーパーレス化や在宅勤務への対応も進み、業務環境の変化がみられるほか、創出された時間を企画業務などに充てる動きも出ている。
事業面では、2024年3月にPayPayアプリから加入可能な新商品「これだけペット」を投入した。開発着手からリリースまでの期間は約4か月だった。
ペット&ファミリー損害保険で取締役執行役員お客様サービス本部長を務める川田広明氏は、従来は損保会計への対応に課題があり、個別の工夫で対応してきたと振り返る。新システムの導入後は、業務効率や運用の安定性、ガバナンス面で一定の改善がみられるとしており、今後はデータ活用による意思決定やAIを用いた商品企画にも取り組む考えを示した。