スーパーモリナガは、シフト管理業務の効率化と属人化の解消を目的に、クロスビットのクラウドシフト管理「らくしふ」を導入した。8月5日、クロスビットが発表した。紙やExcelによる運用で店舗によっては月間最大30時間を要していたシフト作成業務が、最短2時間まで短縮された。業務負担の軽減に加え、公平な人員配置やスタッフの満足度向上にもつなげている。
スーパーモリナガは、佐賀県と福岡県で11店舗の食品スーパーマーケットを展開する、1957年創業の地域密着型企業だ。小売業界では慢性的な人手不足と従業員の高齢化が共通の課題となっており、同社でも限られた人員で高品質な店舗運営を維持するため、業務の見直しとIT化を推進してきた。その中で、バックオフィス業務における大きな課題の一つがシフト管理だった。
従来、各店舗のレジ部門などでは、パート・アルバイトスタッフから紙で提出された希望休を基に、担当者がExcelを使い手作業でシフトを作成していた。希望の収集や調整に多くの手間と時間がかかり、一部の店舗では月間最大30時間を要し、時間外労働が常態化。シフト作成業務が特定の担当者に依存する属人化も問題視されていた。担当者の急な休職がリスクとなるほか、作成に慣れたスタッフが優先的に配置されるなど、業務の固定化も懸念されていた。
らくしふの導入により、スタッフはLINEを通じて希望休を提出し、システムがそれを基にシフトを自動作成するため、担当者の作業時間は劇的に短縮された。最も時間がかかっていた店舗でも、シフト作成時間は約2時間まで削減された。希望休提出を促すリマインド機能により、提出遅延も防止。早期に調整に着手できるようになったことで、従来は月初10日分を急いで作成していたシフトも、1カ月分が余裕をもって確定・共有できる体制が整った。
新システムは、属人化の解消と公平性の確保にも貢献している。個々の希望や事情を考慮する複雑な調整業務から解放され、担当者の精神的な負担は大幅に軽減されたという。誰でも操作できるため業務の標準化が進み、担当者の交代も容易になった。システムが客観的にシフトを組むことで、「特定のスタッフが優遇されている」といった不公平感がなくなり、現場の納得度も向上したとしている。
人材活用の最適化も進んだ。あらかじめスタッフごとの勤務可能な曜日や時間帯を設定できる「勤務可能時間機能」を活用することで、本人の希望に沿わない無理なシフトが組まれることがなくなり、柔軟な働き方を支えている。また、同社が導入するスキルに応じたステップアップの仕組みにおいても、シフト管理業務が標準化されたことで担当者の交代がスムーズになり、人材の流動性を高める環境づくりにつながっているという。
スーパーモリナガ システム課課長の杉山氏は、「今後はレジ部門だけでなく、野菜や鮮魚といった他の部門にもらくしふの導入を検討していく。売上データと人員データを分析し、人件費の最適化も目指す。将来的には勤怠管理システムとの連携も視野に入れている」と今後の展望を語る。
また、唐津店店長の三島氏は、「らくしふは作業時間を短縮するだけでなく、シフト調整に伴う精神的な負担を軽減してくれる。全店舗のレジ部門でシフト作成時間を2時間以内に統一することを目標に、担当者の活用レベルをさらに高めていきたい」とコメントしている。