税理士法人森田事務所、AI-OCRで入力業務を自動化 処理時間を大幅短縮

2025年12月5日18:12|ニュースCaseHUB.News編集部
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 税理士法人森田事務所は、会計データの入力業務の効率化を目的にAI-OCR「DX Suite」を導入した。12月2日、AI insideが発表した。銀行通帳や医療費領収書などの帳票データの読み取りからシステムへの取り込みまでを自動化し、作業時間を大幅に短縮した。また、業務の属人化を解消することで人材採用の幅を広げるとともに、職員が高付加価値業務へ注力できる体制を整備した。

 税理士法人森田事務所は、兵庫県内と九州エリア(福岡、長崎、熊本)の計5カ所に拠点を構え、約2000社の顧客に会計・税務サービスを提供している。事業規模の拡大に伴い、業務担当者の人材確保と業務効率化が喫緊の課題となっていた。特に、顧客から預かる銀行通帳のコピーや各種証明書の内容を会計システムへ手入力する作業は負担が大きく、既存の会計システムに付随するOCR機能では読み取り精度が不十分だった。

 こうした中、同事務所の顧客企業がDX Suiteを活用して手書き書類をデータ化していることを知り、導入を検討した。トライアルの結果、乱筆でも高い精度で読み取れることを確認し、採用を決定した。

 導入後は、まず銀行通帳の読み取り自動化に着手した。通帳には「家賃支払い」などの手書きメモが含まれる場合があるが、データ加工機能を活用することで、会計システムへの取り込みに適したCSV形式での出力を可能にした。また、非定型帳票を読み取る「項目抽出」機能を活用し、確定申告に必要な医療費領収書やふるさと納税証明書、クレジットカード明細、レセプト(診療報酬明細書)などのデータ化も進めている。さらに、PDF形式の契約書を読み取ってテキストデータ化し、編集可能な雛形として顧客に提供するなど、活用の幅を広げている。

 DX Suiteの導入により、業務効率は劇的に向上したとしている。たとえば、ふるさと納税の処理業務では、従来10件あたり3分から4分かかっていた作業が、読み取りから会計システムへの取り込みまで含めて30秒程度で完了するようになった。

 また、業務プロセスの標準化により、人材戦略面でも効果が表れている。データ処理業務が自動化されたことで、高度な会計知識を持たない人材でも業務遂行が可能となり、採用の門戸が広がったという。これにより、経験豊富な職員を顧客対応やコンサルティングなどの付加価値の高い業務へシフトさせることが可能になった。

 今後はRPAとの連携を進め、所定のフォルダに書類を格納するだけで会計システムへの登録まで完了する完全自動化を目指す考えだ。

 税理士法人森田事務所 営業支援推進部 部長の富永雅弘氏は、「人材確保が難しくなる中、紙のデータを手入力している企業にこそDX Suiteを勧めたい。導入前は不安があるかもしれないが、実際に使ってみれば成功体験が得られる。まずは一部の業務から導入し、徐々に利用範囲を拡大していくことで効果を実感できるはずだ」と話している。

ニュースリリース