富士通は、グローバル規模での業務標準化とユーザー体験(UX)の向上を目的に、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の「WalkMe」を採用した。2月3日、WalkMeが発表した。全社横断の業務プロセス変革プロジェクト「OneERP+」の基盤として活用し、システム定着の早期化とサポートコストの抑制に成功した。今後は海外拠点への展開を加速し、グループ11万人の変革を支えるインフラとして運用していく。
富士通は2020年から、自らをDX企業へと転換させる全社プロジェクト「OneFujitsuプログラム」を推進している。その中核を担うOneERP+は、SAP S/4HANAを主軸にServiceNowやQlik Senseといった複数のクラウドサービスを組み合わせ、データドリブン経営の実現を目指す大規模な取り組みだ。
同プロジェクトでは、業務をクラウドの標準プロセスに合わせる「Fit to Standard」の方針を掲げている。しかし、11万人を超える全従業員が対象となるため、従来のシステムからの変更に伴う現場の混乱や抵抗感をいかに最小化するかが大きな課題となっていた。そこで、言語や拠点を問わず一貫した操作画面を実現し、利用状況の可視化と継続的な改善を可能にするツールとしてWalkMeの導入を決めた。
WalkMeの採用にあたり、システムそのものを改修することなくユーザーの操作を誘導できる点や、高度な分析機能によってUXの課題を特定できる点を評価した。
導入の効果は、サポート業務の改善として現れている。WalkMeのガイダンス機能や入力を補助するスマートチップなどのコンテンツを実装した結果、導入初期に月間15000件に達していたSAP S/4HANAに関する問い合わせは、稼働から3カ月で3000件へと、約8割削減された。現時点で周辺システムを含め累計290件以上の業務要件に対してWalkMeのコンテンツを実装しており、ユーザーの混乱を回避しながら迅速なシステム定着を実現した。
今後は、2025年10月からのオセアニアやシンガポール、タイといった海外拠点への展開に向け、WalkMeの分析機能「Insights」の活用を強化する。得られたデータを基にUXのさらなる改善を進め、グローバルでの業務標準化を加速させる。
富士通CEO室Data&Process Divisionシニアマネージャーの橋本千加子氏は、OneERP+は全社一体で業務プロセスを変革する戦略的な挑戦であるとした上で、Fit to Standardという方針の下で従業員の混乱を抑えることが成功の鍵だと述べている。WalkMeについては、システムの改修に頼らずユーザー体験と定着を両立できる仕組みとして位置づけており、今後もグローバル展開の中でDXを足元から支える基盤として活用していきたいとしている。