今仙技術研究所は、見積業務の形骸化や属人化といった課題の解決を目的に、調達・購買システム「リーナー見積」を採用した。8月4日、リーナー見積を提供するLeaner Technologiesが発表した。採用により、相見積もりの取得率が4割増加し、月あたり37時間の業務時間削減に成功した。業務効率化で創出した時間を活用し、調達業務の高度化や全社的なDX推進を目指す。
今仙技術研究所は、電動車いすや義足といった福祉機器を40年以上手がけるメーカーだ。近年は電動車いすのレンタル事業にも注力している。同社の購買部では、見積業務が形骸化し、1社見積もりで購買することが多く相見積もりが活性化していないことや、業務が属人化し、特定の担当者しか業務内容を把握できていないことが課題となっていた。特に、短納期が求められるオーダーメイド製品の調達では、相見積もりに時間をかけられず、コスト高につながっていた。
調達業務の見直しを始めたきっかけは、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱だった。部材の納期遅延や代替品の調査・検討に迫られ、購買部門の業務が逼迫。製造部門や営業部門から人材を配置転換して体制を強化しようとしたが、業務の属人化が壁となり、円滑な業務展開が困難だった。この経験から、属人化の解消と業務効率化に向けた調達DXの取り組みを開始した。
当初は在庫管理などを含めた統合的なシステムを検討していたが、相見積もり業務の非効率という課題に焦点を当て、特化型システムのリーナー見積の検討を進めた。選定にあたっては、システムが形骸化しないよう「使いやすさ」を重視。トライアルを通じて操作性を確認したほか、導入で生まれた時間をコストダウンやサプライヤーの新規開拓といった本来の調達業務に充てるという将来のビジョンを明確にした。最終的には、システムの使いやすさに加え、迅速なレスポンスや的確なアドバイスといったLeaner Technologiesのサポート体制の厚さも決め手となった。
リーナー見積の活用後、見積業務は大幅に効率化された。従来は2割程度だった相見積もりの取得率は6割程度まで向上し、コストダウンにもつながっている。見積依頼の作業や複数社からの見積もり比較が容易になり、トライアル期間だけで月あたり37時間の業務時間削減効果が確認された。導入企業側のサプライヤーからも「回答しやすく、効率化できた」「チャット機能でタイムリーにやり取りできて便利だ」といった好意的な声が寄せられている。
今仙技術研究所 EMC事業部・購買部 部長の佐藤雅之氏は、「効率化を進め、そこで生まれた時間を活用して、さまざまなことにチャレンジしていきたい。専門のDX推進部門はないが、少数精鋭である我々、購買部がその先駆者となって、社内全体で新しいことに取り組んでいけるような立場になれたらと考えている」と話している。