名古屋市は、行政DXを支える全庁統合ファイルサーバーとして、デル・テクノロジーズのスケールアウトストレージ「Dell PowerScale」を採用した。12月18日、デル・テクノロジーズが発表した。庁内に分散していた百数十台規模のNAS装置を集約し、高い性能と安全性を備えたデータ利活用基盤を構築。職員2万人の業務効率化と、AI活用を見据えた大容量環境を実現した。
名古屋市では行政DXの一環としてネットワークモデルの移行を計画していたが、各部署が個別に導入・運用していたNAS装置のセキュリティ確保が課題となっていた。また、今後のDX推進においてAIや生成AIの利活用が進むことを見越し、増大するデータを一元的に管理できる強固な基盤整備が求められていた。
システムの選定にあたっては、約2万人の職員が市内数百カ所の拠点からアクセスしても耐えうる同時接続性とパフォーマンスを重視した。また、百数十台のNAS装置を収容できる拡張性に加え、庁舎内の限られたスペースに設置できる省スペース性も評価のポイントとなった。
導入の結果、ファイルサーバーの実効容量は旧環境の約70TBから約3PBへと40倍以上に拡大した。アクセス頻度に応じてSSDとHDDにデータを自動配置することで、処理性能の向上とコスト最適化を両立させている。セキュリティ面では、スナップショット機能や遠隔地へのレプリケーション機能を活用し、ランサムウェア対策を含むデータ保護体制を大幅に強化した。
運用面でも大きな効果が出ている。各部署での個別管理が不要になったほか、ユーザー自身によるデータの復元が可能になるなど、利便性が向上した。データ移行の際も、現場業務を止めることなく無停止で実施できた。
新システムは2025年3月から本稼働を開始し、同年度中に全てのデータ移行を完了させる予定だ。今後はAI活用を下支えする基盤として活用範囲を広げ、市民サービスの向上につなげたい考えだ。
名古屋市総務局行政DX推進部デジタル改革推進課の前田敦紀氏は、「Dell PowerScaleの機能は運用管理の効率化に大きく貢献している。管理ツールにより状況確認が容易になり、予期せぬアラートへの対応でもデル・テクノロジーズの支援を受けて問題を解消できた。DX推進やAI利活用が進めばデータ管理の重要性はさらに高まる。取り組みを支えるコンポーネントとして、積極的に活用していきたい」と語っている。