新明工業、3D Docs活用で組付工数を26%効率化 指示者不在でも品質安定

2025年10月30日10:25|ニュースCaseHUB.News編集部
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 新明工業は、Sceneの3Dドキュメント作成ツール「3D Docs」を導入した。10月29日、3D Docsを提供するSceneが発表した。特装車事業における組付工数を大幅に効率化し、経験の浅いメンバーでもベテランなどの指示役なしに安定した品質で作業できる状態を確立した。今後はサプライヤー企業や他の部門への活用拡大を目指す。

 新明工業は、自動車の生産からサポートまで幅広く貢献する企業で、道路維持作業車両や消防車両などの特装車事業を手掛けている。同事業では多品種小ロットかつ短納期で特装車を生産しており、時期によって製作や組立の内容が異なり、担当者が固定できないケースがあった。そのため、作業時にリーダーが不在だと手待ちが発生し、指示不足による工程内不良や品質不良発覚のリスクを防ぐため、組立内容を正しく伝える必要があった。同社は、指示者に依存せず作業者が自立できる、必要な情報がすべて揃った組立支援の実現を目指していた。

 そこで同社は、設計意図から注意点、カンコツ、過去のミスロス再発防止情報を確実に伝えるツールを探し、3D Docsの導入を決めた。選定にあたり、短期間で資料を作成し現場に投入できること、作成リソースの増大を抑えながら質の高い資料を作成できること、そして製造現場で確実に使われることなどを重視した。また、3Dデータを活用した組立支援を行いたいとの意向があり、既存のCATIAデータに対応している点も評価した。

 3D Docsの導入により、品質を維持しながら組付工数を効率化できた点が大きな価値だと同社は認識している。非熟練者のメンバーが3D Docsを閲覧して作業したところ、完成車両の品質に問題はなく、従来の方法と比べて1台あたりの車両組付工数を26%ほど削減できたという。また、ベテランなどの指示者をつけなくても経験の浅いメンバーの組付が安定したことも効果の一つに挙げている。実際に入社6年目のメンバーと入社1年目のメンバーが3D Docsを活用して組立作業を行った結果、組付時間に差がなく安定しており、組付の標準化ができた。

 同社の自動車事業本部 特装部 モノづくり推進室の曽我氏は、「このような効果は、生産負荷に合わせて柔軟に人員配置を調整する私たちにとって非常に大きなメリットだ。指示が行き届かないことによる手待ちもなくなり、人的リソース活用が最大化できるようになった」と述べている。

 また、3D Docsで作成した資料は流用しやすいため、資料作成時間が大幅に短縮され、過去の資料があればさらに高速化が可能になった。機能面では、よく使う工具の説明や品質チェックポイントについて動画ツールで作成したコンテンツやSharePointのリンクを3D Docsに貼り付け、3D Docsを基幹とした情報共有を行っている。

 今後は、外部のサプライヤー企業への展開を積極的に進める計画だ。溶接工程などを依頼する際、新明工業独自の指示や表現を3D Docsで共有することで、外部とのコミュニケーションを円滑にする。さらに、社内のアフターサービス部門や協力工場など、組付工程で作成した手順書を修理部門などにも展開できる可能性についても検討を進める考えだ。

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